2022.08.29
集客
多様な食体験を提供「食かけるプロジェクト」
日本政府は、1日当たりの入国者数の上限を5万人に引き上げる方針を固めました。添乗員なしのパッケージツアーも認められ、外国人観光客の拡大が予想されます。外国人観光客は日本食に大きな期待を持っていますが、以前と異なり日本食そのものよりも「食体験」であることがわかってきました。
この記事では、外国人観光客が食と芸術、歴史等を組み合わせた体験をし、日本の食への関心を高めるとともに、帰国後も日本の食を再体験できる環境の整備に取り組む「食かけるプロジェクト」について紹介していきます。
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食体験を提供する「食かけるプロジェクト」とは
農林水産省は、訪日中に食に関わる体験をした外国人が帰国後も日本の食を再体験できるような環境整備を図り、日本産農林水産物・食品の輸出拡大につなげていく「食かけるプロジェクト」を推進してきました。
今回は「食体験」に着目し、「食かけるプロジェクト」の一環である「食かけるプライズ」の表彰例を紹介していきます。「食かけるプライズ」は、日本各地の食・食文化を深く知ることができる魅力的な食体験を表彰する取り組みです。
食体験に着目「食かけるプライズ」
食×広島お好み焼き×オコノミュニケーション
広島のソウルフードである広島お好み焼きを本格鉄板でインストラクターと一緒に調理する食体験。ヴィーガン、ベジタリアン、ハラル、グルテンフリーなど、あらゆる食のニーズに対応している。
浅草 飴細工 アメシン飴細工体験教室
江戸時代に庶民に広まった飴細工。丸い飴からハサミと指だけを使い動植物を作る飴細工は日本独自の文化。職人が作り方を丁寧に指導し、温かくやわらかい飴を切り、成型するという貴重な食体験ができる。
日本初のミニ・ラーメン・ツアー
通常の1/4サイズのラーメンを食べ歩くミニ・ラーメン・ツアー。ツアーでは、ラーメンを食べるだけではなく、ラーメンの歴史や仕込みについて解説を聞くことができる。
13の酒蔵がひしめく蔵人になれるまち
創業より三百余年の酒蔵に滞在しながら、蔵内で実際に酒造りをする本格的な「蔵人」体験を行う。麹や発酵に関するセミナーも実施し、日本酒文化・食文化を深く学ぶことができる食体験。
日本茶×富士山×あなただけのブレンド
富士山と太平洋を望む「富士の茶の間」で行う合組体験。合組という伝統的なブレンド技術を駆使して、茶師がゲストの好みを聞きながら様々なお茶とハーブやスパイスを組み合わせた世界に一つだけのお茶を作る。
世界のトップシェフ向け料理人プログラム
料理人を対象とした調理技術に特化したプログラム。発酵食品や調味料の使い方、日本ならではの食材、魚の目利きや保存技術、精進料理に欠かせない調理法など網羅的に学び、理解を深める食体験。
食×料理のTSUKIJI COOKING
築地場外市場にある訪日外国人向け料理教室。築地場外市場ツアーで最高品質の食材を選び料理を作る食体験。MICE・団体・企業・個人、ミシュランスターシェフクラス向けなど多様なプログラムを展開。
農家民宿で食旅「松阪牛すきやき体験」
一日一組限定の農林漁業体験民宿に宿泊し、すき焼きで使う野菜や椎茸の収穫、山からわき出る湧水を使用してかまどでご飯作りと肥育地域ならではの松阪牛のすき焼きを気軽に満喫できる贅沢な食体験。
讃岐うどん×古民家×ローカル旅
うどん発祥の地といわれる香川県。うどんの歴史や文化、原材料や出汁のうま味について学び、うどんを作り、うどんを寝かせている間は、農家で野菜の収穫体験。うどんと地域の人に触れるプログラム。
多様な食体験を提供「食かけるプロジェクト」: まとめ
経済停滞が懸念される日本において、成長が見込めるのが観光分野であり、それには飲食店の存在が欠かせません。このコラムでもインバウンドに関連する情報を何度か紹介してきました。
参照
これらの取り組みに加え、外国人観光客に食体験を提供する「食かけるプロジェクト」は、海外での日本産農林水産物・食品の需要拡大のため、訪日外国人が食と芸術、歴史等を組み合わせた体験をし、日本の食への関心を高めるとともに、帰国後も日本の食を再体験できる環境の整備に取り組むもの。すでに様々な飲食店が「食かけるプライズ」に参加しています。 「食かけるプロジェクト」は、日本の食体験を外国人観光客にとって魅力的なものにするために、重要な取り組みとなっていくでしょう。
農林水産省:多様な食体験の提供と輸出拡大の一体的な取組(https://www.maff.go.jp/j/shokusan/eat/syokukake/gaiyo.pdf)を加工して作成