飲食店お役立ちコラム

2022.06.6

集客

【入国規制緩和】飲食店も外国人観光客受け入れ準備を

入国規制の緩和

日本は2年にわたって外国人観光客の入国規制を行ってきましたが、6月10日から団体ツアーに限り、98の国と地域からの観光客の受け入れることになりました。いくつかの制限は継続されるものの、入国制限緩和の大きな転換となります。

国の施策は、観光地の飲食店に大きな影響を与えます。そこで、この記事では入国規制緩和を始めとして、国がどのような施策を考えているかを紹介していきます。

入国規制緩和について

新型コロナウイルスの水際対策として行われてきた入国規制ですが、6月1日から一日当たりの入国者数の上限が1万人から2万人に引き上げられ、観光目的の入国もこの枠の中に含まれることになりました。

入国規制緩和対象は、新型コロナの陽性率による区分けで、最もリスクの低いアメリカ・中国・韓国などの98の国と地域。入国規制緩和に伴い、感染リスクの低い地域からの場合は検査が免除されることになり、成田空港では旅客がスムーズな入国が可能となります。

コロナ禍前の2019年には、インバウンド需要が年間4.8兆円増加し、名目GDP成長率を+0.9%も押し上げていました。インバウンド需要を再び増加させることは、日本にとって重要な成長戦略の一つです。物価高などを背景に国内消費停滞の中、今回の入国規制緩和をきっかけに、インバウンド需要の再開が期待されます。

【入国規制緩和】1.観光地・観光産業の再生に向けて

コロナ禍を契機とした変化

コロナ禍を契機として観光地を取り巻く状況にも様々な変化が見られます。

ICTを活用した観光施設における混雑状況の可視化や、キャッシュレス決済などの導入等はコロナ以前から利用者利便や生産性の向上を図る観点から一定の取組が進められていましたが、コロナ禍において混雑回避や非接触型サービスに対する旅行者ニーズが増すなかで、入国規制緩和により、こうしたIT活用の推進の必要性がさらに高まっています。

またコロナ禍を通じて、社会経済活動のオンライン化の進展が進んだことをはじめ、密を避けた個人・少人数旅行や県内旅行等の近隣地域内でのマイクロツーリズムの増加、キャンプ・グランピングなどのアウトドア活動への需要の高まりといった生活様式の変化も見られました。

入国規制緩和によりインバウンドが復活しても、観光地においてはこうした新たなニーズに的確に応えていくことが求められています。

【入国規制緩和】2.観光地・観光産業の再生に向けた国の施策

今後の取組の方向性と施策

観光地の面的な再生・高付加価値化の推進

【方向性】

  • 地域の多様な関係者の連携の下、宿泊施設・観光施設等の改修、廃屋の撤去、泊食分離、需要の平準化など、観光地全体としてその魅力や稼ぐ力を高めるための、観光地の面的な再生・高付加価値化の取組を推進

  • キャッシュレス化・MaaSなど、旅行者にとっての利便向上や、非接触による旅行者の安全・安心の確保を図るための面的なDX化を強力に推進

【主な施策】

  • 宿泊施設の改修や廃屋撤去等の計画的・継続的な取組が可能となるよう支援内容を見直すとともに、面的なDX化等も支援対象とするなど制度の拡充を図る

  • 上記の制度拡充にあわせて、観光地における以下のような取組について、法整備も含めた更なる推進策を検討し、必要な施策を講じる

(取組例)

  1. 宿泊施設等の高付加価値化のための改修等

  2. 観光地における廃屋撤去、所有者不明の廃屋撤去後の跡地利用

  3. 面的なDX化、マーケティング等に必要な観光客情報等の共有・活用

  4. 複数の交通事業者の連携による域内交通の利便性向上

持続可能な観光地経営の確立

【方向性】

  • 地域一体となった取組が一過性のものとなることなく、かつ、自立・自走したものとして中長期的に発展するよう、地域における財源・人材等の安定的な確保等を含めた持続可能な観光地経営を確立

  • 観光客情報等の面的な集約・分析等、高度な観光地経営を行うための面的なDX化を推進

【主な施策】

  • 観光地全体の収益最大化、経営の効率化を図るため、DXによる地域経営の高度化等に係る中長期的な方策・将来ビジョンの構築を検討

  • 地域一体となった取組の牽引役を担うDMOの活動に対する地域の協力を促すため、DMOの活動による地域への貢献を客観的に把握・評価する手法を検討

  • 観光地経営を牽引する人材の育成を支援するとともに、観光地において行うマネジメント・マーケティングに係るノウハウを横展開

  • 観光地経営に必要な財源を宿泊税、ふるさと納税、地域ファンド等を活用して地域で賄っている先進事例について横展開

  • 必要な財源を地域において賄うことができるようにするための新たな仕組み等について法整備も含めた推進策とあわせて検討

※DMOとは、観光物件、自然、食、芸術・芸能、風習、風俗など観光資源に精通し、地域と協同して観光地域作りを行う法人

このように、国はコロナ禍からの観光のV字回復を図り「稼げる地域・稼げる産業」を実現するため、疲弊した観光地の再生・高付加価値化と持続的な観光地経営の確立を強力に推進しています。

【入国規制緩和】飲食店も外国人観光客受け入れ準備を:まとめ

今回、入国規制緩和により、インバウンド復活への期待が高まっています。

入国規制緩和が発表されたことに加え、スイスの民間研究機関の世界経済フォーラムがこのほど発表した「観光の魅力度ランキング」で日本は対象117か国・地域の中で1位になり、さらに訪日喚起には追い風となりました。

また、交通インフラでは、東京五輪・パラリンピックに向けて、案内板の外国語表示が増えたほか、ICカード乗車券などで外国人が利用しやすくなったことが大きいようです。さらに、コロナ禍に加えウクライナ危機もあり、世界の「安全・安心」の価値が高まりの中、日本の治安の良さや清潔さは観光振興の大きな武器となっています。

これらの点が、観光の魅力度ランキング1位になった理由とされていますが、今日本が約20年ぶりに経験している円安も、外貨をもって入国した外国人にとっては大きなメリットであり、入国規制緩和をきっかけにインバウンド消費額の伸びが期待できます。

コロナ禍では、観光客の激減により外国人の来店がなくなっていた飲食店も、急激な外国人観光客の増加に対応できるよう、多言語に対応したメニューや、セルフオーダーが可能なシステムなどを導入し、今から準備を進めておきましょう。

参照記事:外国人観光客による飲食市場の需要回復に向けて

観光庁:アフターコロナを見据えた観光地・観光産業の再生に向けて~稼げる地域・稼げる産業の実現~(概要)(https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001483819.pdf)から、抜粋・加工して作成

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