飲食店お役立ちコラム

2021.10.15

集客

外国人観光客による飲食市場の需要回復に向けて

外国人観光客

アフターコロナのインバウンド需要の回復を見据え、各自治体では補助金を創設するなど、外国人観光客受け入れの準備を進めています。

日本政策投資銀行が昨年実施した調査では、アジアでは86%、欧米では74%の人がコロナ終息後に海外旅行がしたいと答え、「行きたい国・地域」で日本はアジア・欧米どちらからも人気の国として選ばれました。

新型コロナの流行終息後に観光旅行したい国・地域

出所:(株)日本政策投資銀行・(公財)日本交通公社 2020.6月調査結果

この高い海外旅行意向と日本人気を考えると、地方の観光地にも再び外国人観光客が戻ってくることが期待されます。

そこで、この記事ではインバウンドによる飲食市場の需要回復に向け、観光地域における飲食店の集客について考えていきたいと思います。

日本の食文化に関する外国人観光客の興味・関心

ここにしかないもの

同じく日本政策投資銀行が昨年実施した調査では、コロナ終息後に海外旅行をしたい理由として、リラックス・癒やしや、食事、文化を体験したいという理由が上位にランキングしました。

SNSが発達し、コロナ禍以前に従来のメジャーな観光地以外の地方にも注目が集まっていましたが、再び外国人観光客が、大都市以外の農山漁村地域の観光地を訪れるようになることも予測されます。

その場合、外国人観光客は「ここにしかないもの」を求めます。コロナ終息後は、こうした外国人観光客のニーズを捉えることが求められます。

新型コロナの流行終息後に海外旅行をしたい理由

出所:(株)日本政策投資銀行・(公財)日本交通公社 2020.6月調査結果

地域固有の食文化・郷土料理

外国人観光客は、「天ぷら」や「寿司」などのいわゆる日本食ではなく、その地域固有の食文化や郷土料理を求めています。

唯一ではなくても、その地域特有の食材、作法、食器、歴史など、何か「特別」を見つけ固有性をアピールすることで、外国人観光客にとって魅力的な食体験となります。

その地域でとれた食材

その地域でとれた食材を使った料理というのも、外国人観光客にとって「特別感」を感じる要因の一つ。食材が取れた畑の場所が分かったり、生産者の顔が見えたりすることも、関心や愛着を高めることにつながります。

その土地の畑でとれた野菜や、その地域の漁港で水揚げされた魚を使った料理などを外国人観光客にアピールすることで、飲食店の付加価値を高めます。

地域の歴史・伝統文化との関連

多くの外国人観光客は、地域の食にまつわる歴史や文化に高い関心を持ちます。
「その料理はどのようにできたのか」「地域の人たちはその料理をどのようなときに食べるのか」など、食と関連した歴史や文化を紹介することが効果的。

郷土料理を口にするとき、その歴史や文化を知ることができれば、外国人観光客にとってその料理が一層印象深いものになります。

食習慣に合うもの

調査結果では、予算が上がる・滞在日数が長くなるとの回答が、短くなるとの回答を上回りました。コロナ終息後の海外旅行では旅行者の消費単価は上昇し、より長期滞在を求める可能性があります。

新型コロナの流行終息後、海外旅行の予算・滞在日数はどのように変化すると思うか

海外旅行長期滞在化の可能性
海外旅行長期滞在化の可能性

出所:(株)日本政策投資銀行・(公財)日本交通公社 2020.6月調査結果

特に初めて訪日した外国人観光客にとっては、日本食を食べること自体が新しい体験。
日本食体験の際に戸惑うこともあると考えられ、長期滞在を考えると外国人の食生活や嗜好性について一定程度配慮することも必要です。

食事制限への配慮

外国人観光客の中には、宗教やアレルギー等の理由から食事制限を持っている人も少なくありません。
例えば欧米諸国をはじめとする国や地域では、ベジタリアンやビーガンと呼ばれる菜食主義者が増えています。

参照:増え続ける需要「ヴィーガン料理」で新しい取り組みを

このように外国人の食習慣・食事制限にも配慮したメニューも加えることで、より多くの外国人を受け入れられるようになります。

嗜好性への配慮

外国人観光客は出身国や地域によって、日本食の味が薄く感じたり、量が少なく感じることがあるので、外国人観光客が自分の好みに応じて味付けや量をある程度アレンジできるように、オプションを用意することも一つの方法です。

多言語で「食」を紹介する

現在では、各県の観光情報サイトには、各国の言語が用意されています。
グルメポータルサイトも、英語、中国語、韓国語などに対応しており、予約もできるようになっていますが、掲載は写真までとなっており、やはり具体的なメニューや価格は各店舗毎で対応が必要です。

多言語切り替え機能を持つセルフオーダーシステムであれば、外国人観光客でもスムーズに注文できますし、注文ミスを防ぐことができます。

【外国人観光客】による飲食市場の拡大に向けて:まとめ

観光情報サイトや、グルメポータルサイト、多言語対応のメニューを強化していくことで、アフターコロナにおいても、スムーズに外国人観光客を受け入れる体制を整えることができます。

地方の観光地では、小規模な飲食店でも多言語に対応したオーダーシステムの導入ができるよう、官民一体となって進めていくことが必要でしょう。

飲食店に対し様々な補助金が用意されている今こそ、外国人観光客による飲食市場の需要回復に向けて準備を進めるチャンスと言えます。

農林水産省:平成 30 年度食によるインバウンド対応推進委託事業(飲食行動調査事業)報告書(https://www.maff.go.jp/j/shokusan/eat/attach/index3.pdf)を加工して作成

グラフの出所:(株)日本政策投資銀行・(公財)日本交通公社 2020.6月調査結果(https://www.dbj.jp/upload/investigate/docs/0bd107edcd997a333b17e637273efbcb.pdf)を抜粋

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