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2022.09.5

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景品表示法の不当表示とは?飲食店はメニューの表現に注意!

景品表示法の不当表示

飲食チェーンの広告が、景品表示法の不当表示に当たると認められ話題にのぼりました。開始時期を示さずに半額キャンペーン広告を出してしまったようです。この場合、誤って表示してしまったとしても景品表示法の不当表示となりますので、どの飲食店でも起こり得ると言えます。
そこでこの記事では、どんな表現が景品表示法の不当表示にあたるかを事例から紹介していきます。

景品表示法とは

景品表示法の正式名称は、不当景品類及び不当表示防止法といいます。
商品・サービスの品質や価格についての情報は、消費者が選択する際の重要な判断材料であり、消費者に正しく伝える必要があります。ところが商品・サービスの品質や価格を、実際よりも著しく優良又は有利であると見せかける表示が行われると、消費者の適正な商品選択を妨げることになります。

景品表示法は、商品やサービスの品質、内容、価格等を偽って表示することを厳しく規制し、消費者の誤認や過大な景品類の提供を防ぐために景品類の最高額を制限するなど、消費者がより良い商品やサービスを自主的かつ合理的に選べる環境を守りる法律です。

平成25年、ホテルが提供する料理等のメニュー表示に関して、表示と異なる食材が使用されていた事実が次々と明らかとなり、消費者の安全・安心が揺るがされる事態が発生。食品表示等問題として大きく報道されました。
この問題を受けて、消費者庁では、違反事業者に対して措置命令を行ったほか、メニュー表示等に係る景品表示法上の考え方を公表しました。また、平成26年には2度にわたって景品表示法の改正が行われました。1度目の法改正では、事業者が講ずべき必要な措置が定められたほか、都道府県知事に措置命令権限等が付与され、さらに事業所管大臣等に調査権限を委任することができるようになったことによって行政の監視指導態勢の強化が図られました。

景品表示法の不当表示概要

優良誤認表示

景品表示法では、事業者が供給する商品・サービスの取引の品質、規格その他の内容について、実際よりも著しく優良であると示すもの、また事実に相違して競争関係にある事業者に係るものよりも著しく優良であると示すものであって、不当に顧客を誘引し、一般消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある表示を禁止しています。

具体的には、商品・サービスの品質を、実際よりも優れていると偽って宣伝したり、競争業者が販売する商品・サービスよりも特に優れているわけではないのに、あたかも優れているかのように偽って宣伝する行為が優良誤認表示に該当します。

なお、故意に偽って表示する場合だけでなく、誤って表示してしまった場合であっても、優良誤認表示に該当する場合は、景品表示法により規制されることになりますので注意が必要です。

有利誤認表示

価格を安くみせかけるなど取引条件を著しく有利にみせる表示や、競争業者のものよりも有利であると誤認させる表示が、有利誤認表示に当たります。

その他 誤認されるおそれのある表示

おとり広告に関する表示

一般消費者を誘引する手段として行う以下の表示は不当表示となります。

  • 取引を行うための準備がなされていないなど、取引に応じることができない場合の、商品又はサービスについての表示

  • 商品又はサービスの供給量が著しく限定されているにもかかわらず、その旨を明示していない表示

  • 商品又はサービスの供給期間、供給の相手方、又は顧客一人当たりの供給量が限定されているにもかかわらず、その旨を明示していない表示

  • 取引の成立を妨げるなど、実際には取引する意思がない商品又はサービスについての表示

この他、無果汁の清涼飲料水等についての表示・商品の原産国に関する不当な表示・消費者信用の融資費用に関する不当な表示・不動産のおとり広告に関する表示・有料老人ホームに関する不当な表示などがあります。

景品表示法の不当表示事例

肉類

景品表示法の不当表示:事例1「ビーフステーキ焼肉ソースランチ」

料理の写真を掲載するとともに、「ビーフステーキ焼肉ソースランチ」等と表示することにより、あたかも、当該料理に用いている牛肉は牛の生肉の切り身であると認識される表示について、実際には、牛の成形肉であったとして、飲食店を営む事業者に対して景品表示法の規定に基づく排除命令が行われました。

景品表示法の不当表示:事例2「健康ステーキ」

料理の写真を掲載するとともに、「健康ステーキ」等と表示することにより、あたかも、当該料理に用いている牛肉は牛の生肉の切り身であると認識される表示について、実際には、牛の横隔膜の部分の肉を食用のりで貼り合わせる加工を行ったものであったとして、飲食店を営む事業者に対して景品表示法の規定に基づく措置命令が行われました。

景品表示法の不当表示:事例3「柔らかくてジューシーな地元和牛の知多牛のステーキ」

宿泊プランにおいて、「柔らかくてジューシーな地元和牛の知多牛のステーキ」と記載することにより、あたかも、当該宿泊プランの利用者に提供する料理に和牛を使用しているかのように示す表示について、実際には、「和牛等特色ある食肉の表示に関するガイドラインについて」(平成 19年3月 26 日 18 生畜第 2676 号農林水産省生産局長通知)における和牛の定義に該当しない牛肉を使用していたとして、旅館業等を営む事業者に対して景品表示法の規定に基づく措置命令が行われました。

魚介類

景品表示法の不当表示:事例4「車海老」

「車海老」と記載することにより、あたかも、記載された料理にクルマエビを使用しているかのように示す表示について、実15際には、クルマエビよりも安価で取引されているブラックタイガーを使用していたものであったとして、旅館を運営する事業者に対して景品表示法の規定に基づく措置命令が行われました。

景品表示法の不当表示:事例5「芝海老とイカの炒め物」

「芝海老とイカの炒め物」と記載することにより、あたかも、記載された料理にシバエビを使用しているかのように示す表示について、実際には、シバエビよりも安価で取引されているバナメイエビを使用していたものであったとして、ホテル業等を営む事業者に対して景品表示法の規定に基づく措置命令が行われました。

景品表示法の不当表示:事例6「北海道産ボタン海老のマリネ 紫蘇とジンジャーの香り」

「北海道産ボタン海老のマリネ 紫蘇とジンジャーの香り」と記載することにより、あたかも、当該料理に用いているボタンエビは、外国産のものに比べ良質なものとして一般消費者に好まれる傾向にある北海道産のものであるかのような表示について、実際には、当該料理に用いられたボタンエビはすべてカナダ産のものであったとして、飲食店を営む事業者に対して景品表示法の規定に基づく排除命令が行われました。

農産物

景品表示法の不当表示:事例7若鶏の照り焼き 九条ねぎのロティと共に」

「若鶏の照り焼き 九条ねぎのロティと共に」と記載することにより、あたかも、記載された料理に九条ねぎを使用しているかのように示す表示について、実際には、九条ねぎよりも安価で取引されている青ねぎ又は白ねぎを使用していたものであったとして、ホテル業等を営む事業者に対して景品表示法の規定に基づく措置命令が行われました。

景品表示法の不当表示:事例8「有機野菜のプチサラダと前菜二種盛合せ」

「有機野菜のプチサラダと前菜二種盛合せ」と記載することにより、あたかも、記載された料理のうち、プチサラダには有機野菜を使用しているかのように示す表示について、実際には、プチサラダには、有機農産物の定義に該当しない野菜を使用していたものであったとして、ホテル内の飲食店を営む事業者に対して景品表示法の規定に基づく措置命令が行われました。

その他

小麦製品、乳製品についても注意が必要です。

パン

飲食店で提供する料理として「自家製パン」と表示した場合、実際には、市販品のパンを提供している場合は、景品表示法の不当表示となります。 「自家製パン」との表示から、一般消費者は、一般的には、その店舗で一から丁寧に作り上げたパンが提供されていると認識するものと考えられます。このため、市販品のパンが使用されているにもかかわらず、「自家製パン」と表示することは、実際と異なる表示をしていることになります。

チーズ

飲食店で提供する料理の材料としてカマンベールチーズを使用している旨をメニュー等に表示した場合、実際には、カマンベールチーズ以外のチーズも使用している場合は、景品表示法の不当表示となります。

カマンベールチーズを使用している旨の表示から、一般消費者は、カマンベールチーズのみを使用した料理が提供されると認識するものと考えられます。このため、カマンベールチーズ以外のチーズも使用しているにもかかわらず、カマンベールチーズを使用している旨をメニュー等に表示することは、実際のものと異なる表示をしていることになります。

景品表示法の不当表示とは?飲食店はメニューの表現に注意!:まとめ

景品表示法の不当表示は、どの飲食店でも起こり得ます。 メニュー名は、食店の売上を左右する重要なポイントになるため、凝ったネーミングをつけることがあると思います。「有機野菜」や「○○産」など、お客さまの興味を引く言葉を入れることが多くなりますが、その際、不当表示を避けるために、有機野菜の定義や産地は正しいかなど、しっかりと調べることが大切になります。

景品表示法に違反する行為が行われている疑いがある場合、消費者庁は、関連資料の収集、事業者への事情聴取などの調査を実施し、違反行為が認められると、事業者に弁明の機会を付与した上で、違反行為の差止めなど必要に応じた「措置命令」が行われます。

措置命令がでたことがお客さまに知れてしまうと、お店のイメージダウンに繋がってしまいますので、景品表示法の不当表示に当たらないようメニューの表現に十分注意するようにしましょう。

消費者庁
景品表示法(https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/)
メニュー・料理等の食品表示に係る景品表示法上の考え方について (https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/pdf/140328premiums_5.pdf)
を加工して作成

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