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2022.07.25

食料・食品

【グルテンフリー】米粉が世界のトレンドに

グルテンフリー

グルテンフリー市場規模が急速に成長しています。グルテンフリーは、元々アレルギーの人向けのものでしたが、最近では健康志向の方も取り入れるようになりました。そこで、注目されているのがグルテンフリーである米粉です。

飲食店においても、ヴィーガン対応と同様、米粉を使ったグルテンフリーメニューを取り入れてみるのも一案です。この記事では、グルテンフリーの市場状況や米粉の需要について紹介していきます。

グルテンフリーとは?

グルテンとは、小麦、大麦、ライ麦等に含まれる主要なたんぱく質。

小麦粉などには、グルテニンとグリアジンというたんぱく質が含まれています。水を加えてこねると、グルテニンとグリアジンが絡み合うことでグルテンとなり、粘り気や弾力性が増加します。

パンやパスタのモチモチ食感はグルテンによるもので、小麦粉や小麦粉を使用した加工品に含まれています。

グルテンフリー市場規模

アメリカや欧州を中心に、世界のグルテンフリー市場は順調に拡大しており、2024年には約100億USドルに達する見込みと言われています。

出典:農林水産省 米粉をめぐる状況について

グルテンフリーは、従来はアレルギーなどの患者食としての位置付けでした。2002年頃より、最大市場である米国において、患者ではない健康志向層も含めたグルテンフリー市場が拡大し、FDA(米国食品医薬品局)がグルテンフリー表示の規則案を提示した2007年頃、グルテンフリー食品のブームが始まったとされています。

その後、スポーツ選手やモデル・有名人が取り入れたこともあり、欧米で大きなブームになりました。

日本においても、米粉用米の需要量は、平成29年度までは2万トン程度で推移。米粉の特徴を活かし、グルテンを含まない特性を発信する「ノングルテン米粉第三者認証制度」や「米粉の用途別基準」の運用を平成30年から開始したところであり、米粉の需要量が拡大しています。

グルテンフリー・米粉の魅力

小麦粉に代わるグルテンフリーの米粉

微細粒粉に製粉された日本産米粉は、小麦粉に代わるグルテンフリーとして優れた食材です。

粘りやとろみなど増粘として

とろみをつけるのに簡単で使いやすいく、ホワイトソースなどヘルシーで簡単にできます。また、ケーキなどスイーツに使用するとしっとり、滑らかさを出すことができます。

もっちりおいしい食感

米粉で作られたパンや麺はもっちりとしており、日本人が好きな食感です。

くせがない

米粉は味にくせがないため、各種調料や食材との相性に優れ、さまざまな調理に幅広く使えます。

低吸油でさっぱりヘルシー

小麦粉よりも油の吸収率が低く、天ぷらや唐揚げを米粉で揚げると、サクサク感が長く継続します。
油の吸収率米粉 21% /小麦粉 38%

調理特性

米粉は、小麦粉と異なりダマにならないので粉をふるう必要がなく調理が簡単であり、でき上がった料理や加工食品は、ほんのり甘い風味になります。

優れたアミノ酸バランス

米粉は、人に必要なアミノ酸のバランスに優れています。

・アミノ酸スコア =米 65/小麦 41

食料自給率アップ

国産米粉パンを1人が1ヶ月3個食べると、自給率を1%アップさせることができます。

米粉によるグルテンフリー市場に向けた取り組み

ノングルテン米粉を使用した加工品の登録

日本米粉協会は、令和元年9月、「ノングルテン米粉を使用した加工品の登録」を開始。あらかじめ日本米粉協会へ申請し、受付に合致し登録された事業者は、米粉加工品に「ノングルテン米粉使用マーク」を付与される仕組み。今後、登録の拡大を通じて、米粉加工品の販売が拡大されます。

グルテンフリー 米粉に適した米粉用米生産の拡大

米粉の需要拡大に向けて、原料用米の生産面では、パンに適した「ミズホチカラ」麺に適した「越のかおり」等、各地において加工適性や収量に優れた品種が開発されました。

ミズホチカラ(2011年3月品種登録)

製粉時のデンプン損傷が少ないため膨らみやすく、主食用品種に比べ2割以上の増収が期待できるパンに適した品種です。

越のかおり(2011年2月品種登録)

白米のデンプン成分のうち、炊飯米を硬くするアミロースの含有量が多く、茹でても溶けにくく、麺離れが良い品種です。

米粉の用途別基準

小麦粉は、「薄力」「中力」「強力」という表示で流通しており、家庭等における小麦粉利用の基礎情報として浸透しています。しかし、米粉は小規模な製造業者が多く、米粉用米の品種や製粉方法も様々なことから、製造業者によって製品の吸水量が異なるなど品質の違いがみられ、利用が広がりにくいといった課題がありました。

そこで、米粉についても、「1番:菓子・料理用」「2番:パン用」「3番:麺用」といった統一の用途表記を行う「米粉の用途別基準」を開始。日本米粉協会は、適合する製品に協会の「推奨マーク」を付与する仕組みが実施されています。

【グルテンフリー】米粉が世界のトレンドに:まとめ

米粉の需要拡大を図るためには、国内だけでなく、海外における需要を創出し、輸出を拡大していくことが重要。このため、農林水産省、関係機関が連携し、海外における日本産米粉の優位性を活かした需要創出の取組や取引の拡大を支援しています。

デメリットとしては、小麦粉での調理に慣れている現代においては、乾燥に弱いことや吸水性の違い等、米粉の扱いに戸惑う事が多く、米粉の調理に関する知識や慣れが必要であることです。

家庭で使うのは難しいので、プロの手による美味しいグルテンフリーのメニューをおく飲食店があれば、アレルギーの方や健康意識の高い方のニーズに応えることができるのではないでしょうか。

今後はさらに米粉が普及し、飲食店で当たり前にグルテンフリーのメニューを選べるようになることで、日本の食料自給率アップにつながることが期待されます。

農林水産省:米粉をめぐる状況について(https://www.maff.go.jp/j/seisan/keikaku/komeko/attach/pdf/index-79.pdf)を加工して作成

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