飲食店お役立ちコラム

2022.10.17

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【スマートミール】健康な食事・食環境の認証制度

高齢化が進む日本において、健康寿命延伸に向けた食環境整備が重要課題となっています。
そんな中、どこでも誰でも栄養バランスの良い食事が選べる社会をめざして、スマートミール(健康な食事・食環境)の認証制度が2018年に開始されました。認証を受けると「健康な食事・食環境」のマークを使ってメニューやPOP等で「スマートミール」を提供している店舗であることをアピールできます。
この記事では、スマートミールの基準や認証事例などについて紹介していきます。

健康寿命延伸に向けた食環境整備の必要性

日本人の食料支出の約75%が外食および持ち帰り弁当や惣菜を含む加工食品であり、今後も増加が予測されています。この外食や持ち帰り弁当の利用が多い人は主食・主菜・副菜を組合わせた栄養バランスの良い食事の頻度が低いという調査結果がでています。(平成27年国民健康・栄養調査結果より)

【外食または持ち帰り弁当・惣菜のいずれかの利用頻度】

「定期的に利用している」とは外食または持ち帰り弁当・惣菜のいずれかの利用頻度が週2回以上。

現在生活習慣病は日本人の死亡者数の約6割を占めており、健康寿命の最大の阻害要因と考えられています。生活習慣病は不健全な生活の積み重ねによって引き起こされる疾患群であり、日常生活における適度な運動、バランスの取れた食生活、禁煙の実践により予防することができます。外食店を日常的に利用する場合、料理の選び方にも配慮が必要です。

スマートミールとは

スマートミールとは、健康に資する要素を含む栄養バランスのとれた食事の通称。一食の中で主食・主菜・副菜が揃い、野菜がたっぷりで食塩のとり過ぎにも配慮した食事を指します。

スマートミールの認証制度

健康寿命の延伸には、栄養バランスの良い食事を必要とする人・望む人が選びやすい環境整備が必要。食塩が控えめで栄養バランスが良く、かつ美味しい食事を提供するには、提供する事業者(料理人や組織)の努力が必要となり、コストもかかります。

この取組みを拡げ「売れる」仕組みにつなげるためにも、国の後押しが必要であり、その努力を認め社会にアピールするためにスマートミールの認証制度が発足しました。複数の学協会からなる「健康な食事・食環境」コンソーシアムが認証を行います。
認証を受けると「健康な食事・食環境」のマークを使ってメニューやPOP等で「スマートミール」を提供している店舗であることをアピールできます。

【コンソーシアム参加団体】
日本栄養改善学会 / 日本給食経営管理学会 / 日本高血圧学会 / 日本糖尿病学会日本肥満学会 / 日本公衆衛生学会 / 健康経営研究会 / 日本健康教育学会 / 日本腎臓学会 / 日本動脈硬化学会 / 日本補綴歯科学会  / 日本がん予防学会

スマートミールの基準

スマートミールは、厚生労働省の「生活習慣病予防その他の健康増進を目的として提供する食事の目安」等に基づき基準を設定されています。

  • エネルギー量は,1食当たり450~650 kcal未満(通称「ちゃんと」)と,620~850 kcal(通称 「しっかり」)の2段階とする。

  • 料理の組み合わせの目安は,①「主食+主菜+副菜」パターン ②「主食+副食(主菜,副菜)」パターンの2パターンを基本とする。

  • PFCバランスが、食事摂取基準2015年版に示された、18歳以上のエネルギー産生栄養素バランス(PFC%E; たんぱく質13~20%E, 脂質20~30%E, 炭水化物50~65%E)の範囲に入ることとする。

  • 野菜等(野菜・きのこ・海藻・いも)の重量は、140g以上とする。

  •  
  • 食塩相当量は「ちゃんと」3.0 g未満、「しっかり」3.5 g未満とする。

  • 牛乳・乳製品・果物は基準を設定しないが、適宜取り入れることが望ましい。

  • 特定の保健の用途に資することを目的とした食品や素材を使用しないこと。

【ちゃんと】450~650kcal未満

栄養バランスを考えて「ちゃんと」食べたい女性や中高年男性の方向け

主食 飯、パン、めん類 (飯の場合)150~180g(目安)
主菜 魚、肉、卵、大豆製品 60~120g(目安)
副菜 野菜、きのこ、海藻、いも 140g以上
食塩相当量   3.0g未満

【しっかり】620~850kcal

栄養バランスを考えて「しっかり」食べたい男性や身体活動量の高い女性の方向け

主食 飯、パン、めん類 (飯の場合)170~220g(目安)
主菜 魚、肉、卵、大豆製品 90~150g(目安)
副菜 野菜、きのこ、海藻、いも 140g以上
食塩相当量   3.5g未満

出典:「健康な食事・食環境」認証制(https://smartmeal.jp)

スマートミールの認証事例と利用者の反応

2018年9月に第1回認証以来、2022年8月現在で、認証は547事業者数となっています。
スマートミールウェブサイト認証事業者一覧(https://smartmeal.jp/cn4/pg3462.html)

外食部門:認証事例

バランスランチセット

708 kcal/食塩相当量3.3g/野菜等重量185g
通常の麻婆豆腐より塩と油を控え、しょうが、にんにく、唐辛子を効かせておいしく減塩。料理長工夫の一品。ランチタイム注文数は安定して推移。食べた人から 「美味しい」「満足」との声。

海老とお野菜たっぷりのあんかけ ごはん

713 kcal/食塩相当量3.4g/野菜等重量258 g
ランチの中のご飯メニューでは最も注文が多い。とくに中年男性からの注文が多く評判が良い。次はランチの麺類でも挑戦したいと料理長。

和食ランチセット

794kcal/食塩相当量3.2g/野菜重量159g
外国人観光客向けに英語、中国語、韓国語でも栄養価などの情報を提供。

ワンプレートランチ

649kcal/食塩相当量2.6g/野菜等重量 220g
料理人の「おいしいものを作る情熱」と医師や管理栄養士の「健康を支える視点」が融合。栄養バランスだけでなく、味、食感、色彩、温度など,おいしさを大切にした。「自分や家族の検査値が気になる方など、お客様との会話が増えた」

スマートミール認証応募方法

スマートミール認証は、応募期間が決められています。応募は年に1回、毎年1月~2月になりますので、「健康な食事・食環境」認証制度スマートミールウェブサイトで、公募を確認した上、応募します。
「健康な食事・食環境」認証に係る応募要項(https://smartmeal.jp/cn3/pg2177.html)

【スマートミール】健康な食事・食環境の認証制度:まとめ

どこでも誰でも栄養バランスの良い食事が選べる社会をめざす、スマートミール(健康な食事・食環境)認証制度。認証を受けると「健康な食事・食環境」のマークを使ってメニューやPOP等で「スマートミール」を提供している店舗であることをアピールできます。

健康メニューはすでに多くの飲食店で提供されていますが、学会等で構成されたコンソーシアムに認証された飲食店は、信頼感において差別化ができます。外食の頻度が多いお客さまの健康を守るという意味でも、スマートミールは社会的意義も大きいといえるでしょう。

厚生労働省
健康寿命延伸に向けた食環境整備としての「健康な食事・食環境」認証制度の推進(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000504895.pdf)
eヘルスネット外食の選び方(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-03-005.html)を加工して作成

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