飲食店お役立ちコラム

2022.04.18

食料・食品

【健康寿命と食生活】飲食店の役割とは

健康寿命と食生活

健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間を指します。平均寿命は、寝たきりや認知症といった介護を要する期間を含みますが、高齢社会を迎え人生100年時代の今、いかに健康寿命を延ばすかが重要です。

その健康寿命を延ばすために重要なポイントのひとつである食生活について、飲食店もメニューの工夫など役割を担うことが必要になっていきます。そこで、この記事では現在の健康寿命に関するのデータや課題などを紹介していきます。

【健康寿命と食生活.その1】日本の平均寿命

我が国の平均寿命は年々伸びており、2016年は男性80.98年、女性87.14年でした。2065年には、男性84.95年、女性91.35年と予測されています。平均寿命と健康寿命の差は、2016年で男性 8.84 年、女性12.35 年となり、今後この差を更に縮小していく必要があります。

〈平均寿命と健康寿命の推移〉

平均寿命と健康寿命の推移

出典:農林水産省 健康寿命と栄養・食生活に関する現状と取組(https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/wpaper/h30/h30_h/book/part1/chap1/b1_c1_1_02.html)

【健康寿命と食生活.その2】健康日本21

厚生労働省では、2013年4月から10年後を目標に「21世紀における第二次国民健康づくり運動(健康日本21(第二次)」を行ってきました。

  • 健康寿命の延伸と健康格差の縮小

  • 生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底(NCDの予防)

  • 社会生活を営むために必要な機能の維持及び向上

  • 健康を支え、守るための社会環境の整備

  • 栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙及び歯・口腔の健康に関する生活習慣及び社会環境の改善

この基本的な方向性に基づいた具体的な目標53項目をおおむね10年間を目途に設定しました。 しかし、健康寿命の延伸や栄養・食生活に関する中間評価を見ると、現状のままでは最終評価までに目標達成が危ぶまれるとのことです。

【健康寿命と食生活.その3】栄養課題

2019年の国民健康・栄養調査結果によると、我が国の食塩摂取量の平均値は 10.1g でした。1995年からみると長期的には減少傾向ではありますが、男女とも全ての年齢階級で「健康日本21(第二次)」の目標には達していません。

また、各国の食塩摂取量と比較すると、我が国は他国よりも多い傾向にあり、世界保健機関(WHO)が推奨している量(1日5g 未満)の約2倍摂取している状況にあります。

〈我が国の食塩摂取量の平均値(20 歳以上、性・年齢階級別)〉

〈各国の食塩摂取量〉

各国の食塩摂取量

出典:厚生労働省「自然に健康になれる持続可能な食環境づくりの推進に向けた検討会報告書(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000836820.pdf)

【健康寿命と食生活.その4】食習慣の意識

2019(令和元)年の国民健康・栄養調査では、健康関心度を把握するための指標として、食習慣改善の意思を調査しました。食習慣を「改善することに関心がない」又は「関心はあるが改善するつもりはない」と回答した者の合計の割合は、男性 41.1%、女性 35.7%でした。

〈食習慣改善の意思〉

食習慣改善の意思

出典:厚生労働省「自然に健康になれる持続可能な食環境づくりの推進に向けた検討会報告書(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000836820.pdf)

また、食塩摂取量を「健康日本21(第二次)」の目標である8g を基準に群分けしてみると、1日の食塩摂取量が8g 以上の群において、食習慣改善の意思がない者の割合は男女とも約6割を占めていました。今後、減塩の取組を効果的に進め健康寿命を延ばしていくためには、健康関心度も配慮した取組が必要となります。

健康寿命を延ばしたいという健康関心度の高い人は、放っておいても脂肪・塩分摂取を控えたり栄養バランスに気を配りますが、関心度が低い人には栄養・健康を訴求の他に、価格や美味しさ、付加価値でのアピールなど工夫が必要です。例えば「高血圧を防ぐ減塩メニュー」という表現よりも、「塩分控えめ、5種類のダシでコクたっぶり!」などのコピーで伝えるのも、ひとつの方法でしょう。

【健康寿命と食生活】飲食店の役割とは:まとめ

大手食品企業では、「減塩」と「高齢期の低栄養」の課題解決を軸とし、2030年までに、10 億人の健康寿命を延伸することをビジョンとして掲げ、「おいしい減塩」レシピの発信、減塩を推進する動画を公開などで、広く情報発信を行っています。また、通常品よりも 大幅に減塩した商品の開発や、消費者がポジティブに減塩に挑戦できるようなプロモーションなどを行う企業もでてきています。

厚生労働省 健康日本21(第二次)の中間評価によると、飲食店においても特に減塩に関する取組は充実してきているとのこと。減塩しながらも美味しく栄養バランスのとれたメニューの開発など、今後も社会全体で健康寿命を延ばしていく取り組みが進むことが期待されます。

農林水産省:健康寿命と栄養・食生活に関する現状と取組
(https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/wpaper/h30/h30_h/book/part1/chap1/b1_c1_1_02.html)
厚生労働省:自然に健康になれる持続可能な食環境づくりの推進に向けた検討会報告書
(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000836820.pdf)を加工して作成

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