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2022.02.21

経営

ゴーストレストランとは?特徴と注意点をわかりやすく

デリバリー

ゴーストレストランとは、その名のとおり客席がないデリバリー専門のレストランです。キッチンの設備のみで営業できるため設備投資が抑えられることと、コロナ禍で急拡大したデリバリーサービスの影響もあり、一気に拡がりました。

今後も続くデリバリー需要を見込んで、ゴーストレストランへのコンビニ参入も始まり、ますます注目度が上がっています。 この記事では、ゴーストレストランの特徴と注意点について紹介していきます。

ゴーストレストランとは?

ゴーストレストランのニーズ

ゴーストレストラン (ghost restaurant) は、ニューヨーク発祥の、電話やインターネットを通じた注文にのみ対応するデリバリー専門の飲食業態です。クラウドキッチンや、バーチャルレストランとも呼ばれています。

コロナ禍の影響で、デリバリーサービスは、巣籠もりや非接触のニーズにマッチし急成長しました。特にインターネットを利用したデリバリーサービスは、2020年だけで前年比2倍以上の成長となっています。

緊急事態宣言下ではサービス事業者がこぞってクーポン配布をしたり、既存店舗がデリバリーに注力した結果、需要に拍車をかけたのです。

出前サービスの利用グラフ

出典:経済産業省ミラサポplus(https://mirasapo-plus.go.jp/infomation/14511/)

ゴーストレストランとは?開業方法

ゴーストレストランの開業に必要な資格

1.食品衛生責任者資格

ゴーストレストランであっても、実店舗と同じように食品衛生責任者資格が必要です。(栄養士や調理師、食品衛生管理者の資格を用いる場合は、新たに食品衛生責任者の資格取得は不要。)食品衛生責任者養成講習会を受講することで公衆衛生学と衛生法規、食品衛生学を学び取得します。

2.飲食店営業許可

ゴーストレストランであっても、同じく保健所の飲食店営業許可が必要です。営業許可を受けるには調理場に食品衛生責任者を1名以上おき、該当地域の保健所に申請、設備などが要件を満たしているか検査を受けます。

すでに営業許可が下りている店舗のキッチンであれば、新しく飲食店営業許可を取得しなくても良い場合もあるので、保健所に相談すると良いでしょう。

3.デリバリー代行サービスの登録(審査あり)

デリバリー代行サービスに登録します。登録すればすぐに利用できますが、審査があります。現在ではUberEats以外にも数多くの代行サービスがありますが、登録時の手数料や、利用時の配達手数料がかかりますので、しっかり比較検討して選びましょう。

ゴーストレストランの開業場所

ゴーストレストランは、デリバリー代行サービスを利用するのが前提なので、実店舗のように人通りが多い立地条件である必要はありませんが、開業する地域にデリバリーの需要があるのか、どのような食事が好まれているかなど市場調査は必要です。デリバリーサービスの配達可能範囲も考えた上で開業場所を選びましょう。

ゴーストレストランの調理場は、配達員が取りに来られる場所なら問題ありませんが、わかりにくい場所や自転車が通れない不便な場所は敬遠される可能性もあるので、注意が必要です。

自宅のキッチンで開業できると考える人もいるかもしれませんが、飲食店営業許可を受けるには必要な設備や検査があります。一般的な住宅のキッチンでは、リフォーム工事をしない限り飲食店営業許可は下りない可能性が高いようです。

ゴーストレストランとは?特徴と注意点

ゴーストレストランの特徴

1.初期費用や経費を抑えられる

ゴーストレストランの場合、飲食店の経費の中で大きな割合を占める家賃や人件費を抑えることができます。 オーナー自身が料理人なら、キッチンスタッフも不要ですので、人件費がほぼかかりません。

飲食店は場所が大きく売り上げに影響しますが、ゴーストレストランならデリバリーサービスが網羅する地域であれば、家賃が安く仕入れに便利な場所だけに絞って物件を選べます。

この2点が、最もゴーストレストランのメリットと言えるでしょう。

2.天候の影響が少なく、席数や回転率に売上げを左右されない

雨の日は独自のサービスで集客をしても、どうしても来客数が減少します。また、忙しい時間は席が足りずにお客さまを逃してしまったり、長居をするお客さまが多いと回転率が落ちるなど、日によって売り上げが変わってしまいます。

その点ゴーストレストランなら、雨の日こそデリバリー需要が増えて売り上げアップが期待できます。客席はお客さまのご自宅であるため、満席で機会を逃すことがありません。

3.メニューを変更・追加しやすい

一度店舗を構えると、提供できるメニューや業態も決まってしまいます。例えば、中華料理からイタリアンに転向したい場合、店舗の内装や食器なども変更しなければなりません。その点、ゴーストレストランは業態やメニューに縛られない点では有利です。

また接客や会計、食事中のお客さまに気をくばることなどがない分、料理だけに集中できるのもメリットといえるでしょう。

ゴーストレストランの注意点

1.お客さまとのコミュニケーションがない

実店舗の場合は、スタッフの接客や店の雰囲気を気に入っていただき常連になる場合がありますが、ゴーストレストランの場合は料理を届けるのはデリバリーサービススタッフであり、お客さまと一度も顔を合わすことがなくコミュニケーションをとれないというデメリットがあります。

2.特別なWEBのプロモーションが必要

ゴーストレストランは、オンラインで注文から会計まで行われますので、あくまでもインターネット上で多くの人の目に止まる工夫をしなければなりません。最大の課題が新規のお客さまにリーチする方法です。

メインの集客方法は、デリバリーサービスサイトで上位表示を狙うことになります。ウェブ検索ではGoogleアルゴリズムに対するSEO施策を行いますが、デリバリーサービスサイトのアルゴリズムに合わせた運用をしなければなりません。

そのため、デリバリーサービスサイトの上位表示施策について掲載されている情報サイトを調べるなど、自身で対策を行っていく必要があります。お店の認知度や信頼度をアップさせるためSNSでの発信も重要です。

ゴーストレストランとは?特徴と注意点をわかりやすく:まとめ

この2年で急成長したデリバリーサービスとゴーストレストラン。急速に人気が出たために一部品質の悪い店舗も出現し、マイナスな噂が流れてしまった時期もありました。しかし、大手コンビニチェーンも参入を始めた現在、将来的にも大きな需要が見込めるとして注目されています。

ゴーストレストランは今後、これから飲食店を開業する方、また現在の業態を変えることを考えている飲食店の選択肢として定着していくでしょう。

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