飲食店お役立ちコラム

2022.10.31

経営

飲食店の事業を拡大する「フランチャイズ」と「のれん分け」

フランチャイズ

飲食店事業を拡大したい場合、「フランチャイズ」展開、または「のれん分け」という方法が考えられます。さらに最近では、フランチャイズとのれん分けをミックスしたような「のれんチャイズ」という仕組みも出現しました。
この記事では、飲食店が事業を拡大する場合の選択肢について紹介していきます。

フランチャイズ

フランチャイズとは一般的には本部が加盟者に対して、特定の商標・商号等を使用する権利を与えるとともに、加盟者のサービス提供、その他の事業・経営について統一的に統制・指導・援助を行います。
加盟料、ロイヤリティを対価として本部に支払ってもらうかたちになります。

フランチャイズのメリット

フランチャイズ本部を構築すれば、出店は加盟者が行うため、リスクを抑えつつ店舗を増やせます。短期間での効率的な出店により、経営の効率化、またチェーンやその業態の統一した認知度やイメージをつくりあげることが可能です。

フランチャイズの場合、規模を大きくすることができるので、お客様や取引先に対して安心感や信用を与え、個店の経営では難しい、規模の大きさを活かした仕入れや販売促進を行うこともできます。

フランチャイズの注意点

フランチャイズ加盟店を増やすには、経営方針を立てシステムを構築した上で、仕組みやノウハウを提供しなければならないので、組織づくりが必要。加盟店をサポートするためのしっかりした体制づくりも必須ですので、時間とコストがかかります。
また契約書は、後のトラブルを避けるためにも、加盟店が理解しやすいように作成することが重要です。

魅力的なブランドでなければ、加盟店を増やすことはできません。事業計画から加盟店を集めるところまで、すべてを自店で行うのはハードルが高く、専門家にコンサルティングを依頼する場合が多いため、ここでも大きなコストが必要になります。

のれん分け

のれん分けとは、長年勤めた従業員に「のれん(屋号)」を使って独立させること。もともと「暖簾」という言葉には、店の信用・信頼・格式といった意味も含まれることがあります。
フランチャイズと異なり、小規模に行えるのれん分けですが、既存の直営店舗を譲渡したり、独立する従業員に店舗の経営を委託するなど、いろいろな形があります。

のれん分けのメリット

店のノウハウや技術を知り尽くした従業員にのれん分けすることで、ブランド価値を担保した上で効率よく店舗を増やすことができます。

独立者が自己資本で出店したり、既存店舗を買い取る形のれん分けは、独立者は比較的自由に経営ができるため、モチベーションもアップするでしょう。
また独立する従業員が、本部所有の店舗を借り受けて店舗経営を行い、本部に対して店舗や設備の利用料を支払うかたちの、のれん分けも考えられます。その場合は、さらにブランドイメージを保ちやすくなります。

のれん分けの注意点

のれん分けでは、本店と独立者がバランスよく収益を得ることができることがベストです。
ロイヤリティについては、決まったルールはありませんし、商標使用料のみというケースも見られます。ただ、本店がこれまで時間とコストをかけて作り上げたブランドやノウハウを提供するわけであり、対価を得るのは当然といえます。

既存店舗を買い取る形の場合、独立する従業員がこれまで店に貢献してくれたことへのお返しの意味も含まれるケースもありますが、不当に低い金額で譲渡すると、贈与税に関わることも考えられますので注意が必要です。

のれん分けであっても、後々のトラブルを避けるために、フランチャイズと同じく必ず契約書を作成しましょう。

飲食店の事業を拡大する「フランチャイズ」と「のれん分け」:まとめ

フランチャイズを立ち上げるには、しっかりした経営方針を立てシステムを構築した上で、仕組みやノウハウを提供しなければなりません。時間とコストがかかりますが、飲食店事業を拡大したい場合に、フランチャイズは有効な仕組みといえます。

のれん分けはフランチャイズに比べ、大きく店舗拡大するのが難しそうですが、環境変化によって売上急減する昨今では、フランチャイズよりもリスクは少ないかもしれません。また最近出現している、のれん分けとフランチャイズの利点を活かしデメリットを補完する「のれんチャイズ」も選択肢のひとつです。

これからは、「フランチャイズ」「のれん分け」のいづれかに限定せず、時代に沿った飲食店の事業拡大の仕組みを作り上げていくことが求められるでしょう。

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