飲食店お役立ちコラム

2024.01.8

経営

フード・ビジネス・インデックスから読み取る飲食店・飲食サービスの動向

2023年初旬に紹介した飲食サービスは緩やかな回復への記事では、2022年第2四半期の飲食店・飲食サービスの動向を紹介しました。
コロナ感染拡大が一段落した今、その後の動向を確認するため、新たにフード・ビジネス・インデックス2023年上期までをわかりやすく紹介します。

フード・ビジネス・インデックスの動き

フード・ビジネス・インデックスは、生活に身近な飲食料品に関連する「飲食店・飲食サービス業」「食料品工業」「食料品流通業」の活動状況を把握できるよう試算した経済指標です。2023年上期分の数値をまとめたフード・ビジネス・インデックス「飲食関連産業の動向(2023年上期)」より飲食店・飲食サービスの動向をご紹介します。

フード・ビジネス・インデックスの推移

  • 2023年上期、第1四半期は前期比2.1%と上昇したが、第2四半期は前期比マイナス1.2%の低下

  • 前年2022年の動きを振り返ると、3月までの新型コロナウイルス感染症のまん延防止等重点措置により第1四半期は低下し、指数値90.8と低い水準

  • 3月下旬の解除により、第2四半期は上昇となったが、それ以降は横ばい圏内の動き

  • 2023年第1四半期は上昇し、指数値94.4となったが、続く第2四半期は低下し、指数値93.3

フード・ビジネス・インデックス内訳構成業種の推移

  • 2023年上期の飲食店・飲食サービスは第1四半期に前期比10.5%と大きく上昇したが、第2四半期は前期比マイナス3.0%と低下

  • 食料品工業は、第1四半期に前期比0.5%とわずかに上昇したが、第2四半期はマイナス1.6%と低下

  • 食料品流通業は、2022年以降わずかに上下しながらほぼ横ばいで推移し、第2四半期は指数値96.6

フード・ビジネス・インデックスの伸び率に対する内訳業種の影響度合い

  • フード・ビジネス・インデックスの伸び率に対する3業種の影響度合い(寄与度)をみると、第1四半期の前期比2.1%に対し、最も影響が大きかったのは飲食店・飲食サービス業で、2.6%ポイントと上昇

    に寄与
  • 第2四半期は、フード・ビジネス・インデックスの前期比マイナス1.2%に対し、飲食店・飲食サービス業がマイナス0.8%ポイント、次いで食料品工業がマイナス0.4%ポイントの低下に寄与

飲食店・飲食サービス業の動き

飲食店・飲食サービス業内訳系列の推移

  • 2022年の飲食店・飲食サービス業を振り返ると、第1四半期に低下したものの、第2四半期は大幅に上昇し、第3・4四半期はわずかに低下
    2023年に入り、第1四半期に前期比10.5%と大きく上昇、第2四半期は前期比マイナス3.0%と低下

  • 喫茶店・飲食サービス業・食堂・レストラン・専門店は第1・第2四半期連続して上昇

  • ファーストフード店は第1四半期に上昇し、第2四半期は横ばい

  • パブレストラン・居酒屋は第1四半期に大きく上昇したものの、第2四半期は低下に転じる

2023年上期の上昇は、2023年に入りマスク着用が個人判断とされるなど、コロナ禍前の生活に戻りつつある中、外出機会が増加したこと、さらに新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行による影響が考えられます。一方、パブレストラン・居酒屋は、第1四半期に大きく上昇したものの、第2四半期には大きく低下となり、コロナ禍前の水準から離れた状況が続いています。

飲食店・飲食サービス業の伸び率に対する各系列の影響度合い

  • 第1四半期の前期比10.5%に対し、最も影響が大きかったのは「パブレストラン,居酒屋」で、7.0%ポイントと上昇に寄与したが、第2四半期では前期比マイナス3.0%に対しマイナス5.6%ポイントと低下に寄与

コロナ禍より低調が続いてきたパブレストラン・居酒屋の動向が、2023年上期のフード・ビジネス・インデックスの動きに大きく影響したことがうかがえます。

フード・ビジネス・インデックスから読み取る飲食店・飲食サービスの動向:まとめ

今後のフード・ビジネス・インデックスの動向を予測する上で注目すべき点は、飲食業界の変動が大きな影響を与えていることです。上半期の動きから、コロナ禍の緩和と外出機会の増加が特に飲食店・飲食サービスに対して一定の回復をもたらしていることが分かります。

一方で、異なる業態やセグメントでは依然として変動が見受けられ、特にパブレストラン・居酒屋の急激な上下動は注意が必要です。これは、外出機会の変動や感染症対策の状況により、消費者の嗜好や行動が影響した可能性も考えられます。

今後の動向としては、人材不足や光熱費・材料費の高等などや政府の経済対策によって、飲食店・飲食サービスだけでなくあらゆる業界が依然として影響を受けたり、新たな消費者行動の変化やテクノロジーの進化も業界に影響を与えるかもしれません。

飲食店・飲食サービスは市場の変動に対応する柔軟性を持ちながら、デジタル化や新たなサービスの導入などの戦略を検討することが重要です。また、消費者の期待やトレンドに敏感に対応し、競争の激しい飲食業界において差別化を図ることが成功の鍵となるでしょう。

人材不足の課題解消や今後の展開を考える上で、以下の記事も参考にご覧ください。

【外国人材を活用】飲食店の取り組み事例
【SDGs × 飲食店】新たな価値を生み出す
デジタル化で変わる飲食店の接客

経済産業省:飲食関連産業の動向(FBI 2023年上期)(https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/archive/kako/20231109_1.html)を加工して作成

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