飲食店お役立ちコラム

2022.06.13

食料・食品

【食品添加物】安全でも減らす意識を

食品添加物

食の安全や健康意識の高まりを受け、調理に食品添加物を使用しないことを宣言する飲食店が増えています。

飲食店のウェブサイトや店頭でも「化学調味料・人工甘味料・合成着色料・人工保存料を一切使用していません」「保存料については全て排除し、着色料についても天然由来のものの使用しております」などの表記を見かけるようになりました。

なぜ食品添加物を使用しないことがアピールポイントになっているのでしょうか。この記事は、あらためて食品添加物について詳しく紹介していきたいと思います。

食品添加物とは

食品添加物は、保存料、甘味料、着色料、香料など、食品の製造過程、または食品の加工・保存の目的で使用されるものです。食品に添加することで、味を調える・ 長期保存を可能にする・ 色や香りをつける等の効果が得られる物質のことをいいます。

食品添加物の種類

日本で使用が認められている食品添加物には指定添加物、既存添加物、天然香料、一般飲食物添加物があります。

指定添加物

466品目
安全性を評価した上で、厚生労働大臣が指定したもの(ソルビン酸、キシリトールなど)

既存添加物

357品目
平成7年の法改正の際に、我が国において既に使用され、長い食経験があるものについて、例外的に指定を受けることなく使用・販売などが認められたもの(クチナシ色素、タンニンなど)

天然香料

約600品目
動植物から得られる天然の物質で、食品に香りを付ける目的で使用されるもの(バニラ香料、カニ香料など)

一般飲食物添加物

約100品目
一般に飲食に供されているもので添加物として使用されるもの(イチゴジュース、寒天など)

食品添加物の安全確保

今日の豊かな食生活は、食品添加物によるところが大きいと言えますが、食品添加物は、長い食経験の中で選択されてきた食材とは異なるものです。

このため、厚生労働省は、食品添加物の安全性を確保するために、食品安全委員会の意見を聴き、その食品添加物が人の健康を損なうおそれのない場合に限って使用を許可しています。また、使用が認められた食品添加物についても、国民一人当たりの摂取量を調査するなど、継続的な安全確保が図られています。

取り組み内容

食品添加物の規格および使用基準の設定

品質の安定した食品添加物が流通するよう、純度や成分について遵守すべき項目(成分規格)を設定。また、過剰摂取による健康影響が生じないよう、食品添加物ごとに添加できる上限値など(使用基準)を設定。

既存添加物の安全性確保

既存添加物の安全性の確認を推進し、問題のある添加物などの製造・販売・輸入などの禁止。

食品添加物の摂取量調査

実際に市場から仕入れた食品中の添加物の種類と量を検査し、許容一日摂取量(ADI:人が毎日一生涯摂取し続けても、健康への悪影響がないと推定される一日当たりの摂取量)の範囲内にあるかどうかを確認。

指定添加物の国際的整合化

国際的に安全性が確認され、汎用されている添加物として選定した45品目および香料(54品目)について、国が主体となって指定に向けた取り組みを推進。

問題となった食物添加物:例

厳しい規定や調査がされている食物添加物ですが、中には不適切な使用例もあります。意図せず利用してしまう可能性があるため、注意が必要です。

  • 「精米改良剤」と称した食品添加物を使用した米の表示
    古米が割れにくくなる、精米後の米が白くなり光沢が増す等の理由によりプロピレングリコール等を含んだ「精米改良剤」と称するものを精米時に使用しているにもかかわらず、これらの食品添加物に関する表示をせず販売が行われていた。

  • 輸入冷凍パン生地に、遺伝子組み換えを行った微生物を使って製造した酵素が使用されていた。この輸入冷凍パン生地は、ニュージーランドで作られており、これに含まれている酵素は、厚生労働大臣が定める安全性審査の手続きを経ていない遺伝子組み換え微生物由来の酵素であり、食品衛生法に違反することが判明した。

  • 「D-ソルビトール」を多量に添加した健康食品(お茶)が販売された。下痢等を起こすおそれあり。

食物添加物の必要性

古くは、高度成長期時代に発がん性が明らかになり使用が禁止となった食品添加物がいくつかあったことをきっかけに、食品添加物=化学物質=危険というイメージが広まりました。現在でも食品添加物、遺伝子組換え食品など、食品の生産、製造・加工、流通の段階で新しい技術が導入され、私たちの想像がつかないところで食品が作られているため、食品に対する不安感は払拭できないようです。

また食品添加物の組み合わせが無限にあるため、食品添加物を複合的に摂取した場合の影響が不明であることなどを理由に不安視する意見もあります。

しかし、無添加=安全、食物添加物=危険ということは、決してありません。上記で紹介したように、食物添加物は厚生労働省が徹底的に安全審査を行っています。食物添加物があるおかげで、災害備蓄品を蓄えることができますし、食べられる期間が長くなることで、廃棄の機会が減るというメリットも大きいです。

例えば調味料ひとつとっても、製造工程で食品添加物が使われている場合があります。 もし食品添加物がなくなったとしたら、大量生産ができないため、これまでどおりの価格で購入できなくなり、現在の食生活を維持することはできないでしょう。もちろん飲食店も多大な影響を受けてしまいます。

そのため食物添加物は、私たちの生活に必要な物質と言えます。

【食品添加物】安全でも減らす意識を:まとめ

食物添加物は必要なものであり、厳しい審査を経て安全と判断されたものだけが流通しているので安心であるといえますが、思った以上にあらゆる食品に使われています。見栄えや色を良くするために使うことを避ける、なるべく加工品を利用しないなど、食物添加物を減らす意識は持ったほうが良いかもしれません。

現在では、世界的にも食の安全や健康意識の高まりが進み、無添加・オーガニック・ヴィーガンなどのキーワードに注目が集まっています。調理に加工品や食品添加物を使用しないことを宣言する飲食店は、単なるイメージアップでなく時流を掴み、世の中のニーズに応えていると言えるでしょう。

食物添加物の安全性というよりも、その日に食材を調理して提供する、添加物で着色しない、加工品を使わないなど、お店の心のこもった対応が選ばれるポイントとなるのではないでしょうか。

厚生労働省:食品添加物(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuten/index.html)の各コンテンツから抜粋・加工して作成

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