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2022.06.20

経営

アニサキス食中毒が急増!鮮魚介類提供店は注意を

アニサキス食中毒

アニサキス食中毒の患者数が急増しています。厚生労働省が6月8日に発表したアニサキス食中毒の患者数年は今年5カ月余りで、統計が始まった2013年の患者数を大きく上回っています。

アニサキス食中毒とは、アニサキスが胃壁や腸壁に刺入して引き起こす寄生虫症。胃壁や腸壁に刺入して食中毒を引き起こします。この記事では、特に鮮魚介類提供店で注意が必要な、アニサキス食中毒の特徴と予防策を紹介します。

アニサキス食中毒とは?

アニサキス幼虫は、サバ・アジ・サンマ・カツオ・イワシ・サケ・イカなどの魚介類に寄生する線虫の一種です。アニサキス幼虫は白く太い糸のように見え、長さ2~3cm・幅0.5~1mm程の大きさ。寄生している魚介類が死亡し時間が経過すると、内臓から筋肉に移動します。

アニサキス幼虫が寄生している生鮮魚介類を生、または不十分な冷凍・加熱のものを食べることで、 アニサキス幼虫が胃壁や腸壁に刺入してアニサキス食中毒を引き起こします。

国内のアニサキス食中毒の原因食品は、北海道を除きさば類が最も多く、これ以外では西日本や関東で、いわし類・かつお類等、東北から北海道では、さけ類・いか類・サンマなどが報告されています。

全国で毎年多くのアニサキスによる食中毒が発生しており、食中毒全体の40%となっています。

アニサキス食中毒の発生状況

出典:海の幸を安心して楽しむために ~アニサキス症の予防~
(https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/f_encyclopedia/anisakis.html)
厚生労働省「令和2年 病因物質別月別食中毒発生状況」を基に農林水産省が作成

アニサキス食中毒の症状は?

急性胃アニサキス症

アニサキス食中毒の多くが、急性胃アニサキス症です。食後数時間後から十数時間後に、みぞおちの激しい痛み、悪心、嘔吐 を生じます。

急性腸アニサキス症

食後十数時間後から数日後に、激しい下腹部痛、腹膜炎症状を生じます。

アニサキス食中毒の治療

アニサキス食中毒に対する効果的な治療薬はなく、胃アニサキス症では胃内視鏡検査時に胃粘膜に穿入する虫体を摘出します。腸アニサキス症では対症療法を行い、場合によっては外科的処置が施されます。

また、アニサキスアレルギーに対しては、アレルギーに関する対処療法を行いますが、アナフィラキシーの場合、緊急に医療処置を行う必要があります。アニサキスによる食中毒が疑われる際は、速やかな医療機関の受診が必要です。

アニサキス食中毒の予防方法

内臓に寄生する幼虫が漁獲後に筋肉へ移行することがあるため、魚を購入する際は新鮮な魚を選び、速やかに内臓を取り除き、生で食べることを避けます。魚が生きているときから既に筋肉内にアニサキスが寄生している場合もあるため、注意が必要です。

調味料ではアニサキス食中毒を予防できません

アニサキスはとても小さく、どこに潜んでいるかわかりません。表面はなめらかで丈夫、かつ細い糸のような形状のため、噛み切ることは困難です。

一般的な料理で使う食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびを付けても、アニサキス幼虫は死滅しません。魚を調理する際には、目視で確認して、アニサキス幼虫を除去することでアニサキス食中毒を予防します。

  • 新鮮な魚を選び、速やかに内臓を取り除く

  • 魚の内臓を生で提供しない

  • 目視で確認して、アニサキス幼虫を除去

  • -20℃で24時間以上冷凍

  • 70℃以上、または60℃なら1分加熱

飲食店の注意点

アニサキスによる食中毒の発生は、飲食店38%・家庭18%・販売店17%の順に多くなっています。

出典:厚生労働省/事業者向けリーフレット
(https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000515869.pdf)

飲食店や魚介類販売店で提供したものが原因でアニサキス食中毒が発生した場合、食中毒やその疑いの連絡をうけた保健所は、直ちに患者への調査を開始すると同時に、食中毒の発生源と疑われる施設への立入調査を行います。

立入調査の結果と、体調不良の患者への聞き取り調査の内容をもとに、食品衛生法第55条に基づき、被害拡大防止対策、再発防止対策が完了するために必要な期間・範囲で営業停止の行政処分がとられることがあります。

アニサキス食中毒が急増!鮮魚介類提供店は注意を:まとめ

魚介類を生のまま食べるのは日本特有の文化。特に好きな和食の第一位に挙げられるお寿司は、飲食店においてもなくてはならないメニューのひとつです。

家庭では生の魚を扱うことが難しいため、やはりプロである飲食店で食べる方が安心です。飲食店にとっては鮮魚介類を提供するリスクを伴いますが、アニサキス食中毒予防を行うことで、和食文化をぜひ継続していただきたいと思います。

厚生労働省:アニサキスによる食中毒を予防しましょう(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000042953.html)を加工して作成

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