飲食店お役立ちコラム

2021.12.20

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【食育】飲食店の取り組み

食育

子どもを持つ方は、食育という言葉に馴染みがあると思います。しかし、食育は子どもだけのものではありません。

食生活が豊かになり成人の生活習慣病は増え続けています。生活習慣病を予防するためには家庭の食事だけでなく、外食を含めた食生活の管理が重要。 そんな中、食育イベントや、自分に合った料理の選び方を入手しやすい環境の整備など、飲食店の取り組みも始まっています。

この記事では、食育について飲食店がどのように取り組んでいるかを紹介します。

【食育】とは?

2005年、食育の基本的な理念を示した「食育基本法」が施行されました。食育基本法では「食育」を生きる上での基本とし、「食」に関して正しい知識を持ち、適切に選択する力を身につけることを推進しています。

食育基本法では、基本理念として

  • 国民の心身の健康の増進と豊かな人間形成
  • 食に関する感謝の念と理解
  • 食育推進運動の展開
  • 子どもの食育における保護者、教育関係者等の役割
  • 食に関する体験活動と食育推進活動の実践
  • 環境と調和した生産等への配慮及び農山漁村の活性化と食料自給率の向上への貢献
  • 食品の安全性の確保等における食育の役割

などが提唱されています。

また近年では、企業の社会的責任という概念が発展し、CSR活動が強化推進されていますが、特に食品産業に携わる企業のCSR活動において「食育」は大きな位置づけとなっています。

【食育】の推進

「食事バランスガイド」の活用

「食事バランスガイド」は、健康で豊かな食生活の実現を目的に策定された「食生活指針」を具体的に行動に結びつけるものとして、平成17年6月に厚生労働省と農林水産省が決定しました。

従来の栄養成分表示とは異なり、料理の組み合わせから、栄養バランスを見直すことができるものです。これは飲食店における食育を兼ねたメニュー開発にも利用可能です。 たとえば、メニューにどんな料理を組み合わせるべきかを考えたり、より健康的な食生活をお客さまに啓発するツールとして活用することができます。

食事バランスガイド

出典 農林水産省:食事バランスガイド (https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/attach/pdf/index-3.pdf)

食事バランスガイドのコマには、5つの料理グループ、上から「主食」「副菜」「主菜」「牛乳・乳製品」「果物」が描かれており、上にある料理グループのものほど、しっかり食べる必要があります。

5つの料理グループの中の何かが欠けたり、また1つのグループだけを極端に多くとりすぎると、コマは倒れてしまいますので、バランスのとれたコマの形となるためにも、5つある料理グループそれぞれを、まんべんなく食べる必要があります。

情報ツール

農林水産省のウェブサイトでは、食事バランスガイドのデータや、POPやポスター、イラスト素材などの情報ツールを作成するためのデータが提供されており、ダウンロードして食育活動に役立てることができます。

  • 食事バランスガイド
    https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/attach/pdf/index-3.pdf
  • 簡単にカスタマイズできる「食事バランスガイド」活用ツール素材集
    https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/zissen_navi/provide/index.html
  • イラスト・データ素材集
    https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/zissen_navi/yun/index.html

飲食店ができる【食育】への取り組み

食育は、子どものためのものと思われがちですが、大人こそ好きなメニューだけを選んでしまい、健康に悪い食習慣に陥り生活習慣病を招く確立が高いと言えます。特にランチや会食などで毎日外食をとるという人には、メニューの選び方の知識、すなわち食育が必要なのです。

ポップでメニューで使った食材の栄養素の表示

例えば、上記のイラスト・データ素材集では、肥満が気になる方向け、単身者の方向けなど、外食で野菜摂取するための料理選択について、丼物に副菜を付けるなどの提案がされています。

外食時にも意識して、野菜料理を1品プラス

飲食店の場合、こういった情報をテーブルにポップなどを置いて食育の取り組みを伝える方法があります。注文した品を待つ間や食事をしながらしっかり見てもらうことができます。健康が気になりながらも、毎日外食をとるというビジネスマンに喜ばれ、もう1品追加注文してもらうきっかけになるのではないでしょうか。

また、上記で紹介した食事バランスガイドの主旨を生かしたり、メニュー表の中にさりげなくコマの表示を取り入れることで、栄養バランスに気をつけながら料理を選ぶことの重要性をアピールできます。

食育向けメニュー・イベント

食育向けに新メニューを開発したり、期間限定で特別メニューを提供するという方法もあります。栄養バランスの良い食事への意識を高めてもらえる取り組みとなります。

その他、アイドルタイムに子どもたちを集めて料理教室などのイベントを開催している飲食店もあります。料理教室を通じて、子どもたちに食べ物の大切さや栄養のとれた料理を3食取ることの重要性、食文化などについて伝えることができ、店舗のイメージアップにも繫がるでしょう。

飲食店の【食育】取り組み実例

さまざまな飲食店や自治体が食育について取り組んでいます。

食育教室を定期開催

野菜、麺、ぎょうざの主材料をすべて100%国産とし、食育教室を定期開催しながら安全安心の取り組みを行っているリンガーハット。「一日分の野菜以上が摂取できるメニュー」を開発し支持されています。また、食の安全安心が問われる時代であることから、メニューに関わる原料の情報開示とトレーサビリティの管理強化に取り組み、店頭とホームページで原産地情報、アレルギー情報、栄養情報を公開しています。

管理栄養士によるアドバイス

体脂肪計で有名なタニタ。社員食堂のレシピを掲載した料理本がミリオンセラーとなり、タニタ食堂がオープンしました。セルフサービス式で日替わりと週替わり定食の2種類を提供。カウンセリングルームではプロフェッショナル仕様の体組成計で筋肉量や脂肪が部位ごとにはかれ、管理栄養士からの計測結果や食事に関するアドバイスを受けることが可能です。

推進協力店登録事業

愛知県では食育推進協力店登録事業を行っています。飲食店における栄養成分表示を始め、食育や健康に関する情報を提供する施設を「食育推進協力店」として登録し、県民への健康づくりに関する情報発信等を、飲食店に協力を仰ぐ制度です。

情報提供のお店

愛知県が発行する健康や食生活、食育に関するリーフレットや冊子等を利用者に提供するお店

栄養成分表示のお店

提供、販売する飲食物に対し、食事バランスガイドを用いる等、栄養成分を表示するお店

【食育】飲食店の取り組み:まとめ

新型コロナウイルス感染拡大がもたらした価値観の変化をきっかけに、企業やブランドの存在意義が問われるようになりました。これからはすべての事業者が、社会的意図を持ち、発信していくことが求められるようになります。
その中で食育に取り組む飲食店の姿勢は、社会的責任の観点から評価されていくのではないでしょうか。

農林水産省:食育の推進(https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/index.html)内、各記事を参照・加工して作成

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