飲食店お役立ちコラム

2021.12.27

食料・食品

【飲食店と水】日本の水事情

【飲食店と水

日本は水道の水質が良く、水道水がそのまま飲める数少ない国の一つです。世界では水道の水をそのまま飲める国は日本を含む12カ国とわずかしかありません。また日本の飲食店では水が無料で飲めるのが当たり前ですが、外国では有料の場合が多いです。

しかし、日本は降水量は多いものの水資源には恵まれず、非常に多くの水を輸入してます。ミネラルウォーターなどの飲み水だけでなく、海外から食料を輸入することによって、その生産に必要な分だけ自国の水を使わないで済んでいるのです。

さらに、日本では人口減少に伴い水道料金が上がっていくと予測されており、自治体の水道料金について2043年度までに18年度比で平均43%増の値上げが必要になるとの試算結果を、民間の研究グループがまとめています。※出典:EY新日本有限責任監査法人水の安全保障戦略機構事務局 人口減少時代の水道料金はどうなるのか?(2021年版)

これは水を多く使う飲食店にとっても、大変気になる問題ではないでしょうか。この記事では、水、水資源の現状について確認していきたいと思います。

【飲食店と水】水道水の質の満足度

日本の水道水は、厳しい検査がありその他法的に定められた管理方法が存在します。日本は、世界でも数少ない、水道水をそのまま飲める国なのです。実際の調査結果も以下のようになっています。

現在使用している水道水の質について満足しているか聞いたところ、「全ての用途において満足している」と答えた者の割合が 59.2%、「飲み水以外の用途において満足している」と答えた者の割合が 36.9%、「全ての用途において満足していない」と答えた者の割合が 2.4%。

普段、水をどのように飲んでいるか聞いたところ、「特に措置を講じずに、水道水をそのまま飲んでいる」を挙げた者の割合が 43.9%と最も高く、以下、「ミネラルウォーターなどを購入して飲んでいる」(33.9%)、「浄水器を設置して水道水を飲んでいる」(28.0%)、「水道水を一度沸騰させて飲んでいる」(18.4%)の順となりました。

この調査は令和2年のものですが、思ったよりも水道水をそのまま飲んでいる人の割合が多いですね。それほど日本の水道水は安全だと言えます。

【飲食店と水】世界と日本の水資源の現状・課題

地球上に存在する水のうちの約97.5%が海水等で、淡水は約2.5%。この淡水の大部分は南・北極地域などの氷や氷河として存在しており、地下水や河川、湖沼の水などとして存在する淡水の量は、地球上の水の約0.8%でです。この水のほとんどが地下水として存在し、河川や湖沼なの水として存在する淡水の量は、地球上に存在する水の量のわずか約0.01%にすぎません。

グラフ

日本は世界的に見ると降水量が多く水が豊かな国ですが、河川の流量は一年を通じて変動が大きく、安定的な水利用が難しくなっています。ダムや堰等の水資源開発施設を建設していますが、たびたび渇水が発生し水道水の断水や減圧給水による生活への影響、工業用水不足による工場の操業短縮や停止、農作物の成長不良や枯死などの被害が発生してきました。

さらに日本の年平均地上気温はこの100年間におよそ1度の割合で上昇しています。1970年頃から少雨の年 が多くなっており、渇水被害が発生したり、異常少雨と異常多雨の変動が大きくなる傾向も見られ、世界的な水不足の中、今後も形を変えた水の輸入(バーチャルウォーター)に頼らざるを得ない日本の水事情は、今後厳しくなっていくと思われます。

【飲食店と水】節水

日本では、水資源を保全する活動や水災害を防止する治山治水は将来に向けて重要な課題であり、様々な企業が取り組みを行っています。

飲食店ができることとしては節水があげられます。小さな事ですが、飲食店にとっては水道料金の値上げ対策のためにも取り組む価値はあるでしょう。節水策として浸け置き洗いは代表的な方法ですが、季節によっては雑菌の繁殖を助長するので注意が必要です。食洗機であれば、電気代がかかるとしても、水道代と人件費を考えると条件によってはコスト削減になります。

また、水道スマートメーターといって、水量などを測定する電子式メーターに、メーターで測定した情報や、漏水・逆流などのアラーム情報を無線で遠隔送信できる無線通信端末を取り付けた水道メーターがあり、水道使用量の「見える化」が始まっています。自治体によっては、水道スマートメーターの導入が始まっているようです。

【飲食店と水】日本の水事情とは:まとめ

近年、地球環境の変動スピードが加速しており、これまで当たり前だったもの、事が、無くなったり変化することが珍しくない時代になりました。飲食店にとって、また人にとって重要な「水」について意識を高め、現状を把握した上、変化に対応していくことが求められています。

国土交通省:令和3年版日本の水資源の現況(https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/mizsei/mizukokudo_mizsei_tk2_000028.html)を加工して作成

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