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2022.06.27

食料・食品

【遺伝子組換え食品】知っておきたい安全性と表示の見方

遺伝子組換え食品

遺伝子組換え食品とは、他の生物から有用な性質を持つ遺伝子を取り出し、その性質を持たせたい植物などに組み込む技術を利用して作られた食品です。

「遺伝子組換えでない」「遺伝子組換え不分別」と書かれた食品を見かけることがあると思いますが、大手スーパーの調査では、表示の意味の問い合わが調査期間中約400件もあったそうです。

健康意識の高い消費者が増えている現在、大豆油やしょうゆなど数多く流通している遺伝子組換え食品について、飲食店も知っておく必要があるのではないでしょうか。そこで、この記事では、遺伝子組換え食品の安全性や注意点などについて、紹介していきたいと思います。

遺伝子組換え食品とは

遺伝子組換え食品とは、他の生物から有用な性質を持つ遺伝子を取り出し、その性質を持たせたい植物などに組み込む技術を利用して作られた食品。

遺伝子組換え食品の技術は、自然では交配しない生物から遺伝子を持ってくることができるため、従来の掛け合わせによる品種改良では不可能と考えられていた特長を持つ農作物を作ることができます。

例えば、とうもろこしでは、農薬をまかなくても害虫の繁殖を抑えることができるため、収穫量を増やせます。また、大豆では、雑草を除く作業が楽になるだけでなく、雑草を取り除くために土を掘り返さなくてもよくなるため、地表の土壌が風により舞い上がって失われるのを防ぐことができます。

流通している遺伝子組換え食品

令和4年3月11日の時点で、我が国で安全性審査を経た遺伝子組換え食品は、じゃがいも・大豆・てんさい(砂糖大根)・とうもろこし・なたね・わた・アルファルファ・パパイヤ・カラシナの、9作物330品種、その他、遺伝子組換え添加物は22種類65品目となっています。

出典/厚生労働省:遺伝子組換え食品等及びゲノム編集食品等の審査・届出等の状況(報告)
(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000918026.pdf)

遺伝子組換え食品の用途

これらの、遺伝子組換え食品は、以下のような用途に使用されています。

遺伝子組換え食品の用途

遺伝子組換え作物の作付面積(2011年)は、世界29カ国で1億6,000万ヘクタール。日本国内では遺伝子組換え作物は商業的には栽培されていません。そのため、ほとんどが米国・ブラジル・アルゼンチン・インド・カナダなどからの輸入作物となっています。

輸入とうもろこしの多くは主に飼料・加工用に用いられ、大豆、なたねも油を絞る品種が主流になっています。

遺伝子組換え食品の安全性

遺伝子組換え作物が輸入品であることや、「遺伝子組換え」と聞くと多くの人が不安を覚えます。しかし、現在流通している遺伝子組換え食品は、さまざまなデータに基づき、組み込んだ遺伝子によって作られるタンパク質の安全性や組み込んだ遺伝子が間接的に作用し、有害物質などを作る可能性がないことが確認されています。

遺伝子組換え食品の安全性は最新の科学的な根拠を基に判断されているのです。

遺伝子組換え食品の安全性

また、アレルギーの原因となるのでは?という心配の声もありますが、主なアレルギーの原因はタンパク質であり、組み込んだ遺伝子からできるタンパク質がアレルギーの原因にならないか厳しくチェックされています。

  1. 胃や腸できちんと消化されるか。

  2. 熱に弱いか(加熱処理で分解されるか)。

  3. 既に知られているアレルゲン(アレルギーの原因物質)と似ていないか。

  4. その食品の主要なタンパク質にはならないか。

このように、アレルギーを起こすものは市場に出ない仕組みになっています。

遺伝子組換え食品の表示

いくら厳しいチェックを受けているとしても、やはり不安だという消費者もいますので、食品の表示は消費者が商品を選択する上で重要な情報となります。消費者に対して信頼性・実行性のある情報提供を行うため、遺伝子組換え食品の表示が義務付けられています。

表示には義務表示任意表示の2つがあります。

遺伝子組換え食品の義務表示

1.「遺伝子組換え」と表示

分別生産流通管理された遺伝子組換え食品を原材料とする場合

2.「遺伝子組換え不分別」と表示

組換え、組換えでないものを分別していない食品を原材料とする場合

その他、従来のものと組成、栄養価などが著しく異なる遺伝子組換え食品を原材料とする場合は、例として「高オレイン酸遺伝子組換え」などと表示されます。

遺伝子組換え食品の任意表示、または表示不要

1.「遺伝子組換え」と表示、または表示不要

分別生産流通管理された遺伝子組換えでない食品を原材料とする場合

2.表示不要(任意で表示することも可)

加工後に組み換えられたDNA及びこれによって生じたたんぱく質が、広く認められた最新の技術によっても検出できない加工食品(大豆油、しょうゆなど)

表示は商品ラベルの原材料名または名称のところにカッコ書きで書かれます。

遺伝子組換え食品表示

【遺伝子組換え食品】知っておきたい安全性と表示の見方:まとめ

遺伝子組換え食品の表示について、大手スーパーの調査の結果、遺伝子組換え食品に関する問い合わせは期間中約400件もあったそうです。

  • 遺伝子組み換え不分別と表示があるがどういう意味か

  • 「不分別」の意味が分からない/「不分別」は食べても大丈夫か

  • 「不分別」害がないならなぜ記載するのか

  • 「不分別」と記載があるが子供に食べさせても大丈夫か

など。

※調査期間:2015年5月1日~2017年5月30日
出典:厚生労働省/第3回 遺伝子組換え表示制度に関する検討会

遺伝子組換え食品は最新の科学的な根拠を基に確認されたものだけが流通していますが、消費者にはあまり伝わっていないようです。

現在日本の食料自給率は先進国の中で最低水準。多くを海外からの輸入にたよっているため、遺伝子組換え食品を完全に避けることはできません。遺伝子組換え食品について、正しい知識を持ち判断していく必要があるでしょう。

厚生労働省:遺伝子組換え食品(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/food_safety/food_safety_portal/genetically_modified_food/)
厚生労働省:遺伝子組換え食品の安全性について(https://www.mhlw.go.jp/topics/idenshi/dl/h22-00.pdf)を加工して作成

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