飲食店お役立ちコラム

2021.07.30

経営

【インバウンド】飲食店への不満は多言語表示の未対応が多数

インバウンド

新型コロナウイルス感染症により旅行・飲食関連事業は大きな打撃を受けましたが、そろそろアフターコロナのインバウンド需要に向けた活動が各地で始まっています。特に観光地の飲食店は、インバウンド市場回復を待ち望んでいることでしょう。

コロナ前、押し寄せる外国人観光客に対応するだけで精一杯だったという飲食店は、今こそアフターコロナに向けて準備を始めませんか。これまで外国人観光客がどんな事に困りどんな不満があったのかを知ることで、インバウンド市場が回復した時のための対策を練ることができます。

この記事では、日本の飲食店に対する訪日外国人旅行者のこれまでの評価を紹介します。
インバウンドの課題について知り、効果的なサービスを行う
ヒントにしてください。

インバウンドにおける日本の飲食店に対する不満

訪日外国人は日本の飲食店に対し、どのような不満を持っているのかが調査結果により明確になっています。

訪日外国人が旅行中に困ったこと

観光庁の「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート(平成 28 年度調査)」では、訪日外国人が旅行中に困ったこととして以の下結果が出ています。

  • スタッフとのコミュニケーションが取れない(32.9%)
  • 無料公衆無線LAN(28.7%)
  • 多言語表示の少なさ・わかりにくさ(23.6%)
  • クレジット/デビットカードの利用(13.6%)
  • 情報の入手・予約(7.1%)

半数以上がコミュニケーション、多言語表示の不足が原因となっているようです。

 訪日外国人が旅行中に困ったこと

観光庁:訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート(平成28年度)

最も多いのは飲食店

また、困った旅行者が多かった5種類の施設において、多言語表示やコミュニケーションで困った場所を尋ねたところ、「飲食店で困った(28.5%)」という回答が最も多いとのこと。飲食店で困ったという人の意見をまとめてみました。

  • 料理を選ぶ・注文する際に困った(65.8%)
  • 飲食店を見つける際(32.9%)
  • 食べ方の説明を受ける際(32.2%)

飲食店は他の観光関連施設と比較して、食に関する文化・宗教的な背景から訪日外国人が必要としている情報が多様であるため、適切な対応が進んでいないと考えられます。

多言語表示・コミュニケーションで困った場所

観光庁:訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート(平成29年度)

飲食店の多言語表示・コミュニケーションで困った場面

観光庁:訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート(平成29年度)

最も必要だと思うのは多言語表示ツール

飲食店で訪日外国人旅行者が最も必要だと思う多言語表示ツールは、半数以上の回答者が写真・イラスト入りメニューを、次いで約3割の回答者が多言語表示メニューを挙げています。これより、飲食店のメニューについては言葉による説明よりも視覚的な情報が重視されていることがわかりました。

また、最も必要だと思うコミュニケーションツールについては、約半数の回答者が指差し会話シートを、約4割の回答者がタブレットを用いた注文を挙げています。

飲食店で訪日外国人旅行者が最も必要だと思う多言語表示ツール

観光庁:訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート(平成28年度)

多言語対応に関しては、特にメニューの表記に関して様々な不満がみられ、文字による記載よりも写真による説明が重視されているものの、宗教上の理由から食材や調理方法に関しては正確に把握したいというニーズがあり、記載が求められています。

【メニューの不満】

  • 料理名の外国語表記が不十分・ない
  • 料理名のローマ字表記がない・ローマ字表記しかない
  • 写真が少ない・ない
  • 食材や調理方法の外国語表記がない・間違っている
  • 文章が長くポイントがわかりづらい
  • 番号がない(メニューに番号があると注文する側・される側共にわかりやすい)

その他、看板等が日本語表記のみ・外国語表記されているものの間違っている、歓迎の言葉に自国の言葉がないという不満も見られます。
訪日外国人に対する細かい配慮が欠けているケースが多く、まだまだインバウンド対策が不足していることがわかります。これらは、すぐに対応できるサービスでもあるため、インバウンド市場回復に期待する飲食店であれば解消しておきたい点です。

インバウンドにおけるサービス向上のために

これらの調査結果から、インバウンドにおけるサービス向上施策が見えてきました。特に、メニューの表記に関して多数の不満があることがわかり、半数以上の回答者が写真・イラスト入りメニューを、次いで約3割の回答者が多言語表示メニューを挙げています。

今のうちに多言語表示機能を備えたセルフオーダーシステムの導入を検討する、サービスを見直すなど、本格的なインバウンド回復に備えた取組を進めましょう。

日本の飲食店に対する訪日外国人旅行者の評価(農林水産省) (https://www.maff.go.jp/j/shokusan/eat/attach/index-5_Part4.pdf)を加工して作成

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