飲食店お役立ちコラム

2022.05.23

集客

【商店街の活性化】飲食店がけん引役に

 商店街の活性化

これまで人口減少に伴う需要の縮小に加え、大型商業施設との競合・電子商取引の普及などの要因により、商店街の衰退が懸念されてきました。一方、コロナ禍で百貨店や大型商業施設が苦戦している中でも、多くの人が訪れ活性化している商店街もあります。

活気のある商店街では、人気の飲食店がけん引役となっている場合もありますが、商店街では個店の魅力だけでなく商店街全体を考えていく必要があります。そこでこの記事では、商店街の現状を踏まえ、活性化を実現した商店街がどのような取り組みをしているかを紹介していきます。

商店街の現状

令和3年の全国調査によると、商店街の平均店舗数は51.2店。前回調査(平成30年度調査)の平均店舗数と比べると0.5店増加しています。商店街タイプ別では、近隣型商店街が41.3店、地域型商店街が57.0店、広域型商店街が87.8店、超広域型商店街が144.7店となりました。

商店街の業種別店舗数の割合(業種構成)

商店街の業種別店舗数の割合は、「飲食店」28.0%、「衣料品・身の回り品店等」15.2%、「サービス店」13.7%の順に多くなっています。

最近の商店街への来街者の動向

最近3年間の商店街への来街者数の変化については、「減った」と回答した商店街は68.8%。
「減った」要因について同様に前回魅力ある店舗の減少調査と比べると、コロナ禍の影響か、「集客イベント等の未実施」が12.5ポイント増加となりました。その他の要因は全体的に減少していますが、魅力ある店舗の減少や、業種・業態の不足が大きな減少要因となっているようです。

商店街活性化の取組状況について

個店の魅力向上のための取組

商店街が抱える問題のうち、魅力ある店舗の減少は大きな問題のひとつです。

魅力ある店舗を形成するための個店の改善策・活性化策について、「一部でも行った」と回答のあった取組は、「店舗改装・店内レイアウトの変更」39.2%、「販売促進(POP・ディスプレイ・チラシ等)の強化」32.4%、「スマートレジ等ITの活用」が23.3%の順に多くなっています。

また、「個店の改善策・活性化策を一部でも行った」と回答した商店街において、実施した取組と景況との関係をみると、例えば「テイクアウト販売の導入」の取組割合は、衰退している商店街では45.2%に留まっているのに対し、繁栄している商店街では68.3%の割合で取組が実施されていました。

他に差が大きいものとしては「店舗改装、店内レイアウトの変更」、「商品構成の見直し・変更」などが上位に挙げられます。

キャッシュレス決済の取組

キャッシュレス決済の取組状況については、50%以上の店舗で導入している商店街が21.9%、10%~50%未満の店舗で導入している商店街が28.8%となっています。商店街タイプ別でみると大きくになるにしたがい、50%以上の店舗で導入している割合が多くなりました。

DX実現のための取組

キャッシュレス決済以外のDX(デジタルトランスフォーメーション)実現への取組状況については、取組なし(DX関係の取組は行っていない)が取組ありを上回っています。
「取組あり」について取組内容をみると、「スマートレジの導入」26.4%、「販促等、マーケティングへのデータ活用」25.6%、「来街者の購買データ等の集約・データ分析」16.4%の順に多くなっていました。

DX導入が進まない要因については、「経営者がDXの必要性を感じていない」「DXそのものがよくわからない、知らない」「DX化にあたり何をすればよいかわからない」という意見があげられています。

参照記事:飲食店のDXとは?デジタル化との違いを解説

商店街活性化の事例

実際に商店街の活性化に成功した事例の概要を、ミラサポplus「事例から学ぶ!商店街を、もっと元気に」より抜粋して紹介していきます。

商店街活性化事例:1 回遊型イベントで、商店街を活性化する

新型コロナの影響により商店街の集客が伸び悩むなかで、商店街を回遊する「スタンプラリー」を開催。
この商店街では以前から、店主が地域住民に専門知識を提供するワークショップの開催をしたり、個店の活性化に向けた研修を開催したり、個店の魅力を高める活動を行う。

また、参加店のレシートを別の参加店に提示すると、サービスや特典を受けられるイベントを実施。イベントきっかけに「お店が紹介しあう」ことで、商店街全体の集客力を高めることが狙い。

回遊型イベントは、集客力のあるお店やスポットを「集客の核」にしながら、商店街全体のにぎわい創出につながっている。

商店街活性化事例:2 学生・若者とのコラボによる、にぎわい創出

学生とのコラボで開発された商品が、若年層の新たな需要を喚起しただけではなく、コラボプロジェクトのプレスリリースや、学生の家族や教育機関関係者、地域住民等への広報により、個社・個店自体の認知度が向上し、既存の商品も含めた売上げ増加につながっている。

学生から「コラボ先のお店と一緒に新商品・サービス開発や販路開拓に取り組む中で、今まで知らなかった地域のお店について興味・関心が高まり、地元への就職も考えるようになった。」という声が聞かれるなど、コラボプロジェクトは学生と地域の接点としても重要な取組となっている。

商店街活性化事例:3「商店街ブランド商品」を、共同で企画開発

包装パッケージは統一、お弁当の中身はそれぞれのお店の個性を活かしたオリジナルテイクアウトの取組みが、複合的な展開を見せている。苦肉の策として始まったこの取組みは地域の人々に支持され、さらには新規顧客の獲得につながるなど手ごたえを感じる店主もでてきているという。オリジナルPR動画の制作・配信、タクシー会社とコラボしたデリバリーサービス、スタンプラリーなどの施策も実施。

「商店街ブランド商品」は、お店によって業態・商品が異なり、また特色も異なるため、企画開発が難しくなりがち。この事例では、デザインとネーミングを統一しただけで、その中身については各店舗に任せることで、商品開発への参加ハードルを下げている。

中小企業庁:ミラサポplus 事例から学ぶ!「商店街を、もっと元気に」(https://mirasapo-plus.go.jp/hint/17442/)を加工して作成

商店街の活性化 飲食店に求められる取り組み:まとめ

今年は、3年ぶりに行動制限がない大型連休を迎え、各地の商店街も大勢の人出でにぎわいました。衰退に向かっていると思われた商店街も、少しづつ活性化への取り組みの効果が出始めており、今後はイベントなども復活し、さらに商店街の活性化が期待できます。

飲食店は商店街の集客のけん引役とも言えますが、個店の努力だけでは難しいので、地域の商工会・商工会議所、自治会、市町村の行政機関各団体等と連携を促進し、商店街全体で活性化に取り組むことが重要と言えます。

中小企業庁:令和3年度商店街実態調査広告書(https://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/shogyo/2022/download/220408shoutengai01.pdf)を加工して作成

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