飲食店お役立ちコラム

2021.08.13

経営

利益確保に重要!飲食店の生産性向上


飲食店の生産性向上

飲食店が利益を確保するためには、生産性を向上させることが必要です。
生産性とは、どれだけの人数と時間で、どれだけの粗利を生み出しているかの労働効率を指します。

外食・中食産業は人手を要する工程が多い労働集約型であり、労働生産性が低いと言われている状況。生産性を向上させるには、現場任せではなく、経営者自身が決意を持って進めることが求められます。

そこで今回は、農林水産省が行った外食向け生産性改善コンサルティングより、生産性の向上を実現した飲食店の事例をピックアップして紹介します。

【生産性向上事例:1】レジ対応時間短縮による改善

業種 ハンバーグ、カレーなどを提供するセルフレストラン
店舗数 20店舗
モデル店舗客席数 150席

課題

繁忙時間帯になるとレジ待ちの行列が長くなり、来店しても列に並ばずに退店するお客様がいて、売上の機会損失が発生していた。レジ待ち行列が10人以上並んでいるにも関わらず、空席があり、列に並ばず退店する人もいるほどであり、レジ業務改善が重点課題であった。

生産性向上活動

オーダー対応を分析し、事前のメニュー配付、外国人対応のメニュー表、注文入力の業務タイミングなどの改善を実施。

  • 列で、待っている間にメニューブックを事前配布してメニュー検討してもらう
  • レジ入力、伝票記入の無駄な動きを改善
  • 外国人説明用のメニューブックや説明資料を作成

生産性向上活動の成果

オーダー対応時間を24%短縮し、お客様のレジ待ち時間短縮を実現。

【生産性向上事例:2】メニューブックの見直し

業種 郷土料理・居酒屋
店舗数 1階:カウンター席数 16席、小上がり 4席×3テーブル
2 、3 階:各階・座敷 5部屋 各階 計40~50席程度
従業員数 常時7名程度

課題

郷土料理店としてお客様に期待されていましたが、郷土料理としての特長がメニューブックからは伝わらず、認知されにくい状況だった。日々の売上・来店客数は取れているが、各メニューの売上・販売動向は、これまでの経験に基づき感覚的に判断を行っている。

生産性向上活動

顧客属性・傾向を考慮しつつ、オーダーメニューの出現率や自社の利益率の観点から、メニューの絞込み・推奨メニューの選定など、メニューブックの見直しを行った。

  • メニュー選定結果を踏まえ、あらためてメニュー表(メニューブック)の掲載変更
  • 「本日のお薦め」からのオーダーが多いことから、「本日のお薦め」に記載するメニュー品目を倍に。単身メニュー(ちょい呑みセット)の導入
  • 絵ではなく、写真を入れる
  • “土地ならでは”や“お店としての意図”が分かる補足を入れる
  • 名称から、どのようなメニューか想像つきにくいものに対し注釈を入れる

生産性向上活動の成果

来店客数・顧客注文単価増につながった。

  • 客数:前年同月比較 377名→407名
  • 売り上げ前年同月比較 1,370千円→1,548千円

【生産性向上事例:3】管理者・店長の役割発揮とコミュニケーションの向上

業種 焼肉店
店舗数 7店舗(都心店 3店舗、郊外店 4店舗)
従業員数 約120名(社員 約20名 ・アルバイト・パート 約100名)

課題

20店舗を目標に店舗拡大予定だが、各店の売上目標達成が思うように図れていない。
本部管理者層による店長指導・育成フォローが不足。また、店長の企画・施策の取り組み不足により、各店の売上目標は未達状況。

生産性向上活動

目標達成の施策を体系化整理し、現場感の高いアルバイトを交え詳細施策を検討。活動目標を設定し、店長の計画立案・検証サイクルとともに本部フォローを仕組み化

  • 売上目標達成に向けた、取り組みを明らかにし、その経過の確認タイミングおよび推進上の課題に対する管理者層のフォローアップタイミングを明らかにする
  • 店舗従業員(アルバイト・パート)層に対し、店舗目標と合わせてアルバイトとしての活動目標を設定・共有し、活動実践・振り返りを図る

生産性向上活動の成果

各職位従業員が一丸となって取り組み、売上向上(新規会員増・単価増)につながった。

飲食店の生産性向上:まとめ

これらの事例から、メニューブックの見直しやレジ対応時間短縮、コミュニケーションをとる事など、よくある課題の改善が、生産性向上に直結することがわかりました。

【メニューブックの見直し】

メニューブックは、やはり料理写真が必須です。文章だけでは伝わりにくく、読みづらい文字はお客様にとってストレスになります。外国人観光客が多い飲食店なら、紙媒体のメニューブックと同時にタブレットを利用したメニューを導入することで、リアルタイムでお勧めメニューを写真で表示できたり、外国人観光客向けに多言語対応も可能になり、生産性向上に大きな効果を発揮します。

【レジ対応時間短縮】

レジ待ちが上の機会損失の大きな原因になっていることがわかりました。この事例でも改善点のひとつとしてシステム化を挙げていますが、セルフオーダーシステムなら、注文入力の業務タイミングの改善、スムーズな会計が同時に実現します。
さらに、この事例では、外国人説明用のメニューブックや説明資料を作成していましたが、セルフオーダーシステムであれば、多言語に対応していますので、さらにレジ対応時間を短縮することができます。

これまで気になっていた課題をひとつづつ改善し、利益確保のために生産性向上活動を始めていきましょう。

農林水産省:外食・中食の生産性向上に向けた手引き(https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gaisyoku/attach/pdf/seisanseikoujyou-10.pdf)を加工して作成

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