2026.04.6
集客
インバウンド需要の変化にどう備える? 飲食店が見直したい2026年の集客戦略
ここ数年、飲食店の売上回復を支えてきたのがインバウンド需要です。実際に、訪日外国人の増加によって来店客数や売上が伸びた店も多かったのではないでしょうか。ただ、足元では中国人観光客の減少など、これまでの集客環境に変化も見え始めています。 この記事では、経済産業省の情報をもとに、インバウンドを取り巻く変化を整理しながら、これから飲食店が見直したい集客の考え方と施策の方向性を紹介します。
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インバウンド需要の現状と、ベースとなる国内消費の捉え方
インバウンドの重要性
まず押さえておきたいのは、インバウンドの重要性そのものは今も変わっていないということです。訪日外国人の飲食費は、2025年には2兆711億円※まで増えており、訪日客にとって日本での食事が、旅行の満足度を左右する体験になっていることがうかがえます。
飲食店にとっては、単に食事を提供するだけでなく、日本らしさや地域性、特別感のある体験をどう伝えるかが、これまで以上に求められます。
※出典:インバウンド消費動向調査2025年暦年(速報)及び10-12月期(1次速報)の結果について(https://www.mlit.go.jp/kankocho/news02_00071.html)
「インバウンドの好調」の裏に隠れる国内消費の伸び悩み
しかし、インバウンドの好調さに隠れて、売上高の見え方が実態とズレていないか注意が必要です。
日本の家計の「外食費」はコロナ前の水準を上回ったとされているものの、物価の影響を除いた「実質ベース」では、まだコロナ前の水準に届いていないと指摘されています。つまり、ベースとなるはずの国内のお客様は、物価上昇に対応して外食の回数を減らしたり、一食あたりの単価を下げたりしていると考えられます。
そのため、自店の売上が増えていても、「インバウンド客が増えたから」なのか、「単なる値上げによる押し上げ」なのか、「国内客がしっかり戻っている」のかは分けて考えましょう。売上だけを見ると順調に見えても、実際には原材料費や光熱費、人件費の上昇で利益が残りにくくなっている店も多いはずです。これからの店舗経営においては、客数や売上高といった表面的な数字を追うだけでなく、「いかにして利益率を確保し、手元に利益を残すか」という財務的視点を持つことがカギとなります。
業態による回復の差と売り方の見直し
外食市場全体の回復が進む一方で、その恩恵はすべての業態に均等に行き渡っているわけではありません。居酒屋やパブレストランなど、後れを取っている業態があるのも事実です。
立地、業態、客層によって状況は異なり、有効な集客アプローチも多様化しています。いま求められているのは、過去の成功体験をなぞるのではなく、現在の顧客の行動変化にしっかりと寄り添い、売り方そのものを再構築していくことです。
特定の客層に依存しない、日常需要の取り込み
そして2026年の集客を考えるうえで見逃せないのが、インバウンドの中身の変化です。中国政府が2025年11月中旬に注意喚起を出した後、中国からの訪日外客数は12月に前年比45.3%減、2026年1月に60.7%減、2月に45.2%減となりました。日本政府観光局は、2026年1月・2月分について、注意喚起と航空便減便を減少要因として明示しています。
特定の国からの来店に依存していると、外部環境の変化を受けやすくなることは確かです。
※出典:訪日外客数(2026年1月推計値)(https://www.jnto.go.jp/news/_files/20260218_1615.pdf)
だからこそ、観光客が多い立地であっても、インバウンドだけに頼らない集客の形を持つことが重要です。売上を安定させるのは、近隣住民や周辺で働く人といった「日常需要」です。新規客の獲得だけでなく、一度来店したお客様にリピーターになっていただく仕組みづくりが、2026年の最大のテーマになります。
ターゲットの明確化と検証
狙う客層をはっきりさせる
まず、「誰に来てほしいのか」を明確にします。
自店はランチ需要に強いのか、ディナー需要に強いのか。平日の来店を増やしたいのか、週末の集客を伸ばしたいのか。観光客に選ばれる店を目指すのか、それとも近隣客に日常的に利用される店を目指すのか。
狙う客層をはっきりさせるだけでも、発信内容や打ち出すメニュー、クーポンの施策は大きく変わってきます。すべての人をターゲットにすると、結局どの客層にも刺さりにくくなります。
情報発信の反響分析と改善
次に見直したいのが、発信して終わりになっていないかという点です。関東経済産業局の調査では、ネット予約やSNS活用は進んでいる一方で、SNSの反響分析、POSデータ分析、顧客データ分析などの活用は十分に進んでいないことが示されています。つまり、多くの店が「何が効いたかを見る」段階には至っていないのが現状です。
SNSの投稿本数を増やすことよりも「どの施策が予約につながったか」を分析し、精度の高い発信を積み重ねていくことが重要です。
たとえば、SNSに写真を投稿した日に予約が増えたのか、英語メニューの案内をしたあとに訪日客の入店が増えたのか、平日限定メニューが近隣客に響いているのか。こうした反応を見ながら改善するだけでも、集客の無駄は減らせます。広告費を増やさなくても、当たった施策を積み上げていくことで、結果は大きく変わるはずです。
集客とセットで考える「オペレーションの改善」
集客を支える店舗体制づくり
また、集客と同じくらい大切なのが、客数増に対応できる店舗体制を整えることです。
需要の取り込みに向けた投資が進む一方で、人手不足や資材価格の上昇、人件費増加が経営課題になっています。せっかく客数が増えても、提供や会計が遅れ、接客の質が落ちてしまってはリピーター獲得にはつながりません。お客様の満足度を保ったまま売上につなげる視点が求められます。
デジタル化による来店体験の安定
その解決策となるのが、タブレットオーダー、モバイルオーダーなどの活用です。
混雑時の取りこぼしを減らし、スタッフの負担を抑えながら、来店体験を安定させるための仕組みです。販促だけを強くしても、現場が追いつかなければ売上は伸びません。集客とオペレーションはセットで見直すべきでしょう。
さらに、インバウンドを取り込みたいなら、支払いのしやすさにも目を向ける必要があります。2024年のキャッシュレス決済比率は42.8%まで上昇したと公表されています。国内客にとっても、訪日客にとっても、支払いが分かりやすくスムーズな店は選ばれやすくなります。
POSレジの活用、QRコード決済とPOSレジ連携、多言語対応のメニュー、写真付きの商品説明、カードやコード決済への対応などは、ぜひ導入したい仕組みです。
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集客を支える店舗体制づくりに役立つセルフオーダーシステムの機能
セルフオーダーシステムは、客席に設置したタブレットやお客様のスマートフォンを使い、簡単にメニューを注文できるシステムです。オペレーションを効率化し、スタッフの負担を減らします。
■ 便利な機能
お客様の利便性向上はもちろん、店舗スタッフのオペレーション効率化につながる機能が充実。
■ 多言語切り替え
5か国語の切り替えが可能。外国人観光客もスムーズに注文でき、外国人スタッフにとってもわかりやすいため、注文ミスの防止につながる。
■ QRコード決済とPOSレジ連携
QRコードを読み取るだけの簡単会計により、混雑時にお客様をお待たせしてしまうことや、会計ミスなどのトラブルを防ぎます。
飲食店が見直したい2026年の集客戦略:まとめ
インバウンドは今後も飲食店にとって大切な需要ですが、それだけを前提に経営を組み立てる時代ではなくなりつつあります。これから求められるのは、特定の客層や外部環境の波に依存しすぎず、複数の柱で売上を支える「リスク分散」の視点です。
国内需要の掘り起こしや利益構造の改善など、足腰の強い店舗経営に向けた土台を着実に整えていく店こそ、変化の多い時代のなかでも選ばれ続けていくでしょう。
出典:経済産業省
「コロナ禍に苦しんだ外食産業、今後の期待は賃上げとインバウンドか」
(https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/hitokoto_kako/20250313hitokoto.html)
「東海地域の地域経済産業調査 2025年12月期」
(https://www.chubu.meti.go.jp/a51chosa/tokaikeizaichosa.html)
「令和5年度『飲食サービス業の競争環境整備に向けた商慣行実態調査』」
(https://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/ryutsu/sisckanto/report_r5fy_ryutsu_inshoku.html)
「管内企業の活動状況等について(2025年12月期地域経済産業調査結果)」
(https://www.chubu.meti.go.jp/a51chosa/data/tokaikeizaichosa202512.pdf)
「百貨店・スーパー販売状況(近畿地域)(2026年1月分速報)」
(https://www.kansai.meti.go.jp/1-7research/daiten/kouhyou202601.pdf)
「キャッシュレス」(https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/cashless/index.html)

