飲食店お役立ちコラム

2025.07.7

経営

【2025年】外食産業の今|消費動向から支援制度まで徹底解説

外食

新型コロナウイルス感染症による影響を受けた外食産業は、2025年に入り、回復基調がより鮮明になっています。消費者の行動パターンやコスト構造がコロナ前と大きく変化する中、飲食店経営者は新たな経営戦略を求められています。
本記事では、2025年6月時点の最新データと動向をもとに、外食産業の現状と今後の展望、そして飲食店経営に役立つ具体的な取り組みを解説します。

外食産業の回復状況:数字で見る現在

食費における外食費の割合は、家計の食費に占める外食費の割合は22%となり、コロナ前に近い水準まで戻りつつあります。

形態別に見ると、回復の度合いに差が出ています。ファーストフードは大きく伸び続けている一方、特にパブレストランや居酒屋など一部業態の回復が遅れています。喫茶店、食堂、レストラン、専門店などは、2019年前の水準に達していませんが、上昇傾向が続いており、今後が期待されます。

消費者動向の変化と今後の外食需要

消費者の食費支出の傾向を見ると、コロナ禍では内食(自宅調理)へ大きくシフトしましたが、2024年には外食の割合がコロナ禍前の水準まで回復しています。

ただし、全ての年齢層で外食費が増えているわけではなく、特に若年世帯の食費増加は限定的です。外食費の割合はコロナ前水準に近づいたものの、これ以上の大幅な増加は期待しにくい状況にあります。物価上昇の影響で、消費者の節約志向が根強く、単価や回数を抑える動きが続いています。
飲食店経営者にとっては、こうした消費者の変化を的確に捉え、柔軟な対応が求められます。

外食産業の成長材料:賃上げとインバウンド

最近、外食大手各社が過去最高水準の賃上げを実施しており、名目賃金は前年より増加傾向にあります。
しかし、物価上昇を考慮した実質賃金はまだ安定的に前年を上回っていません。今後、賃上げが物価上昇を上回れば、実質外食費もコロナ禍前を超える可能性があります。

また、インバウンド需要も外食産業の成長を支える大きな要素です。訪日外国人の飲食費は2023年に1兆2千億円、2024年には1兆7千億円と急増し、外食産業全体の約5%を占める規模に成長しています。2024年の訪日外国人数は過去最大となり、今後もインバウンド需要の拡大が期待されています。ただし、観光地の一部地域に集中しているため、地方への波及が今後の成長余地となっています。

飲食店経営者が直面する課題

飲食店経営者が直面する大きな課題の一つは、原材料費や光熱費の上昇によるコスト増加です。このコスト増加は利益率を圧迫し、経営の安定化を難しくしています。加えて、人手不足も深刻化しており、賃上げ圧力が高まっています。人口減少による商圏縮小や働き手不足も、5年、10年先を見据えたときに無視できないリスクとして存在しています。
こうした課題への対応が、今後の飲食店経営の成否を分けるポイントとなるでしょう。

出典:日本フードサービス 外食産業市場動向調査2025年5月度 結果報告(https://www.jfnet.or.jp/files/getujidata-2025-05.pdf)

飲食店の今後の取り組み

コスト管理と価格戦略の見直し

原材料費や光熱費の上昇に対応するため、メニューの見直しや価格改定を柔軟に行いながら、消費者の節約志向に配慮した付加価値の高いメニュー開発やセット販売で単価アップを目指すことが求められます。

インバウンド需要の取り込み

多言語メニューやキャッシュレス決済対応、SNSでの情報発信強化など、訪日外国人のニーズに応える準備を進めることが重要です。地方都市や観光地以外でも、インバウンド需要の取り込み余地があるため、積極的なアプローチが成長につながります。

働き方改革と省力化投資

人手不足対策として、調理や配膳の自動化、セルフオーダーシステムの導入を検討し、業務効率化で従業員の負担を減らすことで、離職率低下やサービス品質向上につなげることができます。

補助金や融資制度を積極的に活用

中小企業活性化協議会や日本政策金融公庫の支援窓口を活用し、経営改善や資金調達、事業再生のアドバイスを受けることも大切です。補助金や融資制度を積極的に活用し、設備投資や新規事業展開の原資とすることで、経営の安定と成長を実現できます。

飲食店経営者が直面する課題は多岐にわたりますが、これらの問題を解決し、持続的な成長を実現するためには、最新の施策や支援情報を積極的に取り入れることが重要です。そこで、今後の経営戦略に役立つ具体的な施策や支援制度についてご紹介します。

飲食店経営に役立つ最新施策・支援情報

2025年6月現在、飲食店経営者を含む中小企業向けの最新かつ注目すべき公的支援策は、「中小企業新事業進出補助金」です。この補助金は、既存事業とは異なる新たな分野や高付加価値事業への進出を目指す中小企業等を対象に、設備投資やシステム開発、人材育成、広告宣伝など幅広い経費を支援するものです。

「中小企業新事業進出補助金」は2025年4月に創設され、6月17日から第1回公募の申請受付が始まりました。補助金額は従業員数に応じて異なり、たとえば従業員数20人以下の場合は750万円~2,500万円(賃上げ特例適用時は最大3,000万円)、101人以上の場合は最大7,000万円(特例時は9,000万円)まで補助されます。補助率は1/2以下で、事業実施期間は交付決定から14か月以内とされています。

出典 中小企業庁:中小企業新事業進出補助金(https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r7/shinjigyo_shinsyutsu.pdf)

この補助金は、物価高や人手不足、最低賃金引き上げなど厳しい経営環境下で、成長や事業転換を目指す飲食店にとって大きな後押しとなります。特に新規事業の立ち上げや業態転換、IT・省力化投資、販路開拓などを検討している場合、積極的な活用が推奨されます。申請受付や詳細な要件、最新情報は、以下の公式サイトで随時公開されていますので、確認してください。

中小企業基盤整備機構:中小企業新事業進出補助金(https://shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp/)

【2025年】外食産業の今|消費動向から支援制度まで徹底解説:まとめ

外食産業はコロナ禍を経て回復基調にありますが、物価高や人手不足、人口減少など新たな課題に直面しています。
しかし、賃上げやインバウンド需要の拡大、IT・省力化投資、各種支援策の活用など、成長のための材料も揃っています。消費者動向やコスト構造の変化を正しく捉え、柔軟かつ戦略的に経営を見直すことが求められます。
今こそ、最新の情報をもとに、事業の持続的な成長と地域社会への貢献を目指しましょう。

出典 経済産業省:コロナ禍に苦しんだ外食産業、今後の期待は賃上げとインバウンドか(https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/hitokoto_kako/20250313hitokoto.html)

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