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2026.10.5

経営

拡大する「中食」需要|飲食店がいまテイクアウトを見直したい理由

テイクアウト

「今日は料理をする時間がない」「店でゆっくり食べる時間はないけれど、おいしいものが食べたい」。そんなとき、多くの人は弁当や惣菜、飲食店のテイクアウトを利用します。いま、外食でも内食でもない「中食」が、日々の食事を支える存在として広がっています。
この記事では、中食が拡大している背景や消費者ニーズを紹介するとともに、飲食店がテイクアウトに取り組むメリットや、今後の消費税対策としての可能性について解説します。

拡大し続ける中食の需要

中食とは、市販の弁当や惣菜などを購入し、自宅や職場などに持ち帰って食べるスタイルのことです。スーパーやコンビニで購入する弁当や惣菜だけではなく、飲食店の料理をテイクアウトして食べることも中食に含まれます。この中食は、外食や内食と並ぶ食事スタイルとして定着し、市場規模を見ると、50年間で約38倍になっています。

中食とは、市販の弁当や惣菜などを購入し、自宅や職場などに持ち帰って食べるスタイルのことで中食がこれほど広がっている背景には、消費者の生活スタイルや、食事に求めるものの変化があります。つまり、中食市場の拡大は、飲食店にとっても消費者ニーズを知る手掛かりになるのです。

働く人のランチから、毎日の食事へ

中食は以前から、働く人たちの昼食を支える存在として利用されてきました。現在では、その場面がさらに広がっています。
背景にあるのが、共働き世帯やひとり暮らしの増加、テレワークの普及などによる生活スタイルの変化です。食事の時間や場所が多様になるなか、その日の予定や状況に合わせて食事を選びたいというニーズも広がっています。

飲食店がテイクアウトを導入する意味

コロナ禍をきっかけに、テイクアウトを始めた飲食店は数多くありました。その後、店内営業が戻るにつれて、テイクアウトを縮小したり、やめたりした店舗もあるでしょう。当時は、店内で食事をしてもらうことが難しい状況のなか、「店内営業を補うために持ち帰りで販売する」という意味合いが強くありました。

しかし、いま改めてテイクアウトを考える理由は、それとは異なります。現在は、中食そのものへの需要が広がっています。そこで求められるのは、「店内で食べられないからテイクアウトを用意する」という発想ではなく、「持ち帰って食べたい人にも自店を選んでもらう」という考え方です。
店内の人気メニューを数品に絞る、ランチタイムだけ弁当を用意する、夕方に持ち帰りやすい一品料理を販売するなど、店舗でのオペレーションや料理の品質を保ちながら、自店の営業スタイルに合わせた方法が考えられます。

飲食店のテイクアウトは、外食需要を単純に置き換えるものではありません。これまで店内飲食では取り込めなかった食事の機会に、自店の商品を届ける方法の一つと考えることができます。

飲食店のテイクアウトの現状

飲食店のテイクアウトは、スーパーほど利用率が高いわけではありませんが、実は中食の購入先として定着しています。リクルートの2025年4月調査では、「外食店のテイクアウト」の利用率は25.0%で、コンビニの24.2%、持ち帰り専門店の15.3%を上回りました。

その理由を考えるうえで参考になるのが、日清オイリオの2025年調査です。中食を購入する際に気にすることとして、「作れないメニュー」35.2%、「専門店の味」23.3%、「お店で手作り」18.5%が挙げられています。つまり飲食店のテイクアウトには、単に食事を手軽に済ませるだけでなく、自宅では作りにくい料理や、店ならではの味を持ち帰れることに価値があると考えられます。

「作れないメニューである」35.2%、「専門店の味が食べられる」23.3%、「お店で手作りしている」18.5%

引用元:日清オイリオグループ株式会社「'25 中食・外食に関する調査」(2025年6月調査)

「外食店のテイクアウト」25.0%、「持ち帰り専門店(弁当など)」15.3%

引用元:株式会社リクルート「2024年度 外食&中食動向」中食購入の実態(2025年4月追加調査)

消費税対策としてのテイクアウト

中食需要への対応に加えて、今後は消費税制度の変化も飲食店にとって重要なテーマになります。
現行制度では、店内で提供する外食には標準税率10%が適用される一方、飲食料品のテイクアウトは軽減税率8%の対象です。今後、食料品の消費税減税が実施されれば、店内飲食と軽減税率の対象となる飲食料品との税率差は、現在より大きくなります。そうなれば、家計への負担を抑えるため、外食の回数を減らしたり、食料品や中食を選んだりする消費者が出てくることも考えられます。
飲食店にとって、店内飲食だけでなくテイクアウトという販売方法を持っておくことは、こうした税制変更への備えの一つにもなるでしょう。

参照記事:食料品消費税「1%」引き下げの閣議決定:飲食店が知っておくべき実務的影響とこれからの課題

ただし、テイクアウトを検討する理由を「消費税対策」だけにする必要はありません。すでに中食の利用は広がっており、飲食店にとっても、その需要を取り込むことには意味があります。そのうえで、今後の消費税対策にもつながると捉えることが大切です。

まとめ:広がる中食需要を、新たな販売機会に

中食は、働く人の昼食だけではなく、忙しい日の夕食や、自宅で楽しむ食事など、さまざまな場面で利用されています。消費者が求めているのは、必ずしも「安く食べること」だけではありません。調理の手間を減らしたい、限られた時間を有効に使いたい、それでもおいしいものを食べたいというニーズがあります。そこには、飲食店だからこそ応えられる余地があります。

店内でしか味わえない料理やサービスを大切にしながら、一方では、自宅や職場でも自店の料理を楽しんでもらえるようにする。販売の入口を増やすことで、これまで接点を持てなかったお客様に選んでもらえる可能性も生まれます。

中食の利用そのものが拡大し、持ち帰って食事を楽しみたいというニーズがあるからこそ、飲食店にとってテイクアウトを改めて検討する意味があります。「広がる中食需要を、自店にとって新たな販売機会にできないか」今後の経営を考えるうえで、見直してみてはいかがでしょうか。

出典 農林水産省:中食の今(https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2606/spe1_01.html)を加工して作成

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